スマッシング・パンプキンズ（The Smashing Pumpkins）＠KT Zepp Yokohama – Rock Invasion 2025 Tour

横浜住まいのワタシにとって、スマパンを横浜のライヴハウスで観られるのはこの上ない幸せ。武道館公演の翌日というキャパシティのギャップも、ただただ楽しいだけだ。

19時きっかりに、『Glass’ Theme』でスタート。続く『Heavy Metal Machine』のとき、ビリーが「ヨコハマーーーー！」と絶叫。東京と一緒くたにしていない（笑）。

当然だが、ステージの大きさは武道館よりもコンパクトだ。ではあるが、電飾はZeppのステージにフィットさせている。狭い分、むしろド派手なライティングは、観る側の視覚を幻惑させにくる。

今回は中央正面に陣取ったので、全員の動きを捉えることができた。ギタープレイはどうしてもビリーばかり見てしまいがちなところ、イハのプレイにも注目するようにした。『Today』や『Mayonaise』のイントロは、イハだった。

『Aghori Mhori Mei』からの曲も、名曲群に引けをとってはいない。『Edin』は、前半キキがリード、ジャックのソロあり、ジミーのドラムソロもあって、改めて聴くとバンド5人全員の見せ場を凝縮させているように思えた。続く『Pentagrams』は大作の様相を呈し、ライヴ映えしていた。

ビリーとイハは、頻繁にギターを交換。ビリーは、ストラト2本とエレアコ、そしてたぶんレヴェレンドのシグネチャーモデルを2本使っていたと思う。どれかには、ミッキーマウスのステッカーが貼ってあった。イハは、ストラトやギブソンを使っていたと思う。

最も運動量の多いキキは、複数の見た目派手なモデルのギターを弾いていた。彼女は、エフェクターを使っていなかった。ジャックも数本のベースを使っていたが、うち1本は白ボディに赤マル、つまり日の丸をイメージしたヤマハの日本仕様ベースだった。

ベルリンのカヴァー『Take My Breath Away』では、ビリーはヴォーカルオンリーで歌いながらステージを左右に足を進めていた。イハの近くに来たとき、イハが握手しようとするもビリー気づかず。イハはグータッチに切り替え、ビリーも気づいてグータッチ成功。そして、ビリーはイハの肩を抱きながら歌った。

かつて、ビリーはスマパン解散はイハのせいと言っていたことがあり、読んでいて複雑な想いをさせられたことがあった。それを思うと、ほんとうに信じられない、そしてもちろん歓迎すべき光景が、目の前にあった。このとき、フロア上部のミラーボールが、場内をまぶしく照らしていた。

『Disarm』では、ジミーのバスドラが強烈だった。マッチョな体格ながら、必ずしも力任せではなく、スナップを利かせた緻密なリズムキープが素晴らしい。そして、決めるべきところでは突き抜けたビートをぶち込んでくる。『Tonight, Tonight』は、ビリーとイハがドラムセット前に寄りそってイントロをはじめ、つまりオリジナルの3人が意識をひとつにした瞬間に思えた。

『Cherub Rock』は、イントロでイハがジャンプ、後半はビリーのソロ、イハは向かって左のジャックやキキの方に足を進めて弾いていた。『Porcelina of the Vast Oceans』は、ビリーの穏やかなイントロで始まり、後半はイハのソロからビリーのソロへとナチュラルにシフト。ビリーは凄まじく弾き倒していた。

『999』では、ビリーとキキが向かい合ってのギタープレイがあった。ビリーとイハの音はそこそこ聴き分けられたが、彼女の音を聴き分けるのは難しかった。ビリーやイハとのコンビーネーションプレイをしているときに、彼女のプレイもフィーチャーされていたと思う。

ラストは、ビリーがレニー・クラヴィッツ『Are You Gonna Go My Way』のリフをリフレインし、イハがMCでフロアに向けて「ヨコハマッ」「Are You Gonna Go My Way !」を連呼してからの『The Everlasting Gaze』だった。

セットリスト
Glass’ Theme
Heavy Metal Machine
Today
Bullet With Butterfly Wings
Muzzle
1979
Edin
Pentagrams
Take My Breath Away
Mayonaise
Disarm
Tonight, Tonight
Cherub Rock
Sighommi
Bodies
Porcelina of the Vast Oceans
Jellybelly
999
Ava Adore
Stand Inside Your Love
Zero
The Everlasting Gaze

この日、ワタシは東京国際フォーラムで開催される「Jazz Not Jazz 2」に行くことを考えていた。椎名林檎のエントリーが、発表されていたからだ。がしかし、スマパンの横浜公演も発表され、東京ではなく自宅から程近い横浜会場が選ばれたことに応えようと思った。その判断に、もちろん後悔などない。