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スマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)@日本武道館 Rock Invasion 2025 Tour

スマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)@日本武道館 Rock Invasion 2025 Tour

来日はサマソニ2013以来12年ぶり。しかし、この日は会場が武道館ということもあり、2000年以来25年ぶりの来日公演と言った方がしっくりくる。

19時きっかりに客電が落ちると、向かって右の袖からメンバー入場。最後に、ビリー・コーガンがゆっくりと歩いて姿を見せた。この時点で、既に場内のヴォルテージはあがっていた。『Glass’ Theme』を経て『Heavy Metal Machine』となり、このバンドの持ち味である演奏力の高さが早くも発揮される。

メンバーは、後方中央にジミー・チェンバリン。まるで要塞のようなドラムセットは、ふたり分はあるのではと思わされる。前方向かって左はツアーサポートのふたりで、ベースのジャック・ベイツとギターのキキ・ウォンだ。

向かって右はジェームス・イハで、赤と黒のシャツ姿。そして、センターのビリー。黒のロングコート姿は、個人的に見覚えがありしっくりくる。ビリーは「トキオーーーッ」と言い放ち、MCはイハが担っていた。ビリーは、今年が『Mellon Collie and the Infinite Sadness』リリース30周年とも言っていた。

というわけで、『Bullet With Butterfly Wings』『Muzzle』『1979』と、珠玉のナンバーが怒涛のように畳み掛けられ、場内の熱気も尋常ではない。そして、これらの曲たちは懐メロや蔵出し感がなく、今の音として鳴っているのだ。それができているのは、ステージにいる5人の演奏力の高さと、そして音楽にかける姿勢だ。

去年加入したキキは、ギタープレイだけでなくフットワーク軽くステージ上を動き回り、客には手拍子を誘導。今までのスマパンにはいなかったキャラで、ビリーも彼女のようなプレーヤーを許容するようになったんだと、びっくりさせられる。

ジャックの父はピーター・フック(ex-ニュー・オーダー)で、容貌ばかりか前かがみになったり右足にボディを乗せてベースを弾くさまはまんま父親だ。ビリーは2001年のニュー・オーダーのツアーに帯同しているが、もしかするとその時点で既にジャック少年に会っていたかもしれない。

ワタシの席はイハ側で、この人のプレイが結構見えた。ほとんど1曲毎にギターを替えていて、コーラスも担当。リズムギターに徹しているかと思いきや、いくつかの曲ではイントロのリフや間奏のソロを担っていた。喋ると、低い声だった。

ビリーも、イハ同様ほぼ1曲毎にギターを替えていた。ベルリンのカヴァー『Take My Breath Away』ではギターを持たず、歌いながらステージを左右に足を進めていた。リードヴォーカルとして、声質も声量も以前とほぼ変わっていないと思う。再結成以降のビリーはすべてを背負っているイメージがあったが、イハが隣にいることでリラックスできているようにも見えた。

去年リリースした『Aghori Mhori Mei』からの曲も交えつつ、メインは『Mellon Collie』、そして『Siamese Dream』からの『Mayonaise』『Disarm』『Cherub Rock』らで何度目かのダメを押す。『Tonight, Tonight』を割とあっさりめに演奏してしまったのは、少し意外だった。ただその代わり、『Porcelina of the Vast Oceans』でのビリーのいつ終わるとも知れないギターソロは圧巻だった。

終盤、『Ava Adore』でビリーは再びヴォーカルオンリーとなり、そして『Zero』を経てラストの『The Everlasting Gaze』へ。しかし、ビリーがレニー・クラヴィッツ『Are You Gonna Go My Way』のリフをしつこくリフレインしてはイハに歌わせ、続いてイハはカンペを見ながらブラック・サバス『N.I.B.』を歌い、そしてやっと『The Everlasting Gaze 』となった。

セットリスト
Glass’ Theme
Heavy Metal Machine
Today
Bullet With Butterfly Wings
Muzzle
1979
Edin
Pentagrams
Take My Breath Away
Mayonaise
Disarm
Tonight, Tonight
Cherub Rock
Sighommi
Bodies
Porcelina of the Vast Oceans
Jellybelly
999
Ava Adore
Stand Inside Your Love
Zero
The Everlasting Gaze

25年前の武道館は、解散を表明しての来日だったため、どこか終末感が漂っていた。今夜は真逆で、場内の空気が多幸感に満ちていた。オーディエンスも、そしてバンドメンバーも、楽しんだことと思っている。イハは、高橋幸宏のツアーメンバーやソロとしても来日してはいるが、やはり、ビリーとイハ、そしてジミーが揃っていることの意味は、とてつもなく大きかったのだ。

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