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ピンク・フロイド(Pink Floyd)(1)

Pink Floyd『The Piper at the Gates of Dawn』

一般に、プログレバンドといえば、ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、イエス、EL&P、ジェネシスといった名前が浮かぶ。中でもフロイドは最も商業的に成功を収めてメジャーになり、極端に言えばプログレ=フロイドとしても過言ではないと思う。

そしてプログレとは何かと言えば、1曲1曲がやたらと長く、そしてキーボードを駆使してピコピコしたサウンドを延々と繰り広げるスタイル…なのだと、ワタシは長らく思い込んでいた。『原子心母』や『エコーズ』などはアナログの片面をまるまる使い切るほどのヴォリュームだし、同じコンセプトの曲をパート1/パート2と分けている曲も少なくない。フロイドが大作主義であることは、まず間違いがない。

ところが、フロイドには確かにリチャード・ライトというキーボード奏者はいることはいるが、キーボードが前面に出た作品というのはキャリア中ほんのわずかなのだ。フロイドはこれまでライヴを含む16枚のオリジナルアルバムをリリースしているが、キーボードが目立つのは、ファースト『夜明けの口笛吹き』と『原子心母』、それに『雲の影』くらいではないだろうか。

フロイドが目指したのは、メンバーが高度な演奏技術を誇り、インプロヴィゼーションでぶつかり合う演奏集団ではなく(キング・クリムゾンはコチラだと思う)、映像や空間的なイメージを喚起させ、聴く者の想像力を刺激することであり、それをより強固にするためにコンセプトで塗り固めることをしていたのだと思う。往年のフロイドファンの方からすれば、そんなの分かり切ったことじゃんという感じなのだろうが、少なくともワタシはプログレという大まかなくくりの中で考え過ぎていた。

ピンク・フロイドは、プログレバンドというよりはむしろレッド・ツェッペリンに近いロックバンドであり、そしてその手法は、今だとナイン・インチ・ネイルズに継承されているような気がする。

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