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キング・クリムゾン(King Crimson Uncertain Times Japan Tour 2018)@オーチャードホール 2018年12月17日

公開日: : King Crimson

キング・クリムゾン(King Crimson Uncertain Times Japan Tour 2018)@オーチャードホール 2018年12月17日

3年ぶりのキング・クリムゾン来日公演は、約1ヶ月に渡って全国を巡るツアーに。まず東京で4公演行われ、地方公演を経て再び東京に戻っての開催となる17日の公演に足を運んだ。そして、自分でも気づかなかったある偶然があって、3年前も同じ12月17日の公演に足を運んでいた。

録音録画禁止に関するお達しが、まず日本人女性スタッフからアナウンスされ、続いてロバート・フリップ自らによるアナウンスがあって、その直後に場内が暗転。定刻通り。メンバーがステージ向かって右の袖から登場し、少しの間客席を見渡した後にそれぞれ持ち場に。まずは3人のドラマーによるインプロヴィゼーションで、ギャヴィン・ハリソンのビートが意外にパワフル、ジェレミー・ステーシーはリズム重視、パット・マステロットはパワー抑え目のプレイだ。

続くは『Discipline』。3年前は80年代クリムゾンの曲は演奏されなかった(と思う)が、現編成では対応していることを知ってはいた。が、まさか序盤からかましてくるとは。ジェレミーはキーボードに切り替え、ココから暫くはビル・リーフリンとのツイン・キーボード、およびツイン・ドラムの体制で進む。

個人的によくわからなかったのが、現体制におけるビル・リーフリンの立ち位置だ。クリムゾンはプログレでは最もキーボード色の薄いバンドと思っていて、メンバーにキーボード専任プレーヤーがつくのも、たぶんクリムゾン史上初だと思う。そしてそのビルだが、見た目ほとんど動きがないが、よーく見ると腕を動かして弾いているのが伺える。次に耳に意識を集中させるが、おそらくメロディーはジェレミーが担い、ビルは音響系に徹していたものと思われる。

第一部のハイライトは、組曲『Lizard』だ。20分オーバーの大作をライヴの場で再構築するのは並大抵ではないと思うが、今のラインナップではトライできるのだろう。各メンバーが見せ場を作る中、個人的に最も際立っていたと感じたのは、フリップのギターだった。他のメンバーに好き放題やらせているようでいて、この人のビブラートを効かせたフレーズが響くと、サウンドが引き締まったように思えた。

壮大にして荘厳なる雰囲気漂う『The Court Of The Crimson King』を経て、80年代クリムゾンからの『Neurotica』『Indiscipline』で、第一部が終了。並のバンドならこれでフルライヴ完奏となってもおかしくないのだが、20分のインターバルを経て、トリプルドラム競演で第二部スタート。この3人を見比べているだけでも飽きないというか、観るべきポイントが多すぎる(笑)。ギャヴィンとジェレミーはドラムセットに埋もれてプレイしているように見え、パットは視界を取れるようにシンバルを配置。結構客席を見ながらプレイしていて、表情がとても楽しそうだった。

フリップの盟友メル・コリンズは、数本のサックスやフルートなどを使いこなし、本来サックスのない原曲にも、馴染むアレンジで組み込んでいた。その隣のトニー・レヴィンは、主にクリーム色のボディのベースを弾いていた。この人、なんと72歳でフリップと同年齢。メル・コリンズよりは1歳年上だ。ピーター・ガブリエルのバンドメンバーとして台頭してきたイメージがあったので、フリップよりは一世代下なものとばかり思い込んでいた。若い。ジェフ・ベック並に若々しい。

2010年代の『Radical Action』『Meltdown』や、2000年代の『The ConstruKction Of Light』など、ざっくりではあるが第一部とは色分けがされているように感じる。そんな中での初期ナンバー『Cadence And Cascade』には意表を突かれ、そして嬉しさがこみ上げてきた。キャリア横断、なんでもござれ、まさに無敵だ。ラストは2003年クリムゾンの『Level Five』で締めた。第一部がとてつもなく長く感じられたのに対し、第二部は一気に駆け抜けたような印象だった。

そしてアンコール。ここまでの日本公演のセットリストを見ていて、何が演奏されるかはわかっていた。個人的に最も好きなクリムゾンの曲『Starless』だ。イントロが流れた瞬間の場内がざわつくリアクションも、嬉しかった。ロックに極点があるとするならば、間違いなくこの曲はそこに到達していると思うからだ。序盤のジャッコ・ジャクスジクのヴォーカル部を経て、中盤はパットによる小道具を駆使した静のパートになり、徐々にエモーショナルになり、他のメンバーも加わり、緊張感が増してくる。ステージは終始濃いブルーのライティングだったのが、ここに来てレッドのライティングに彩られた。錬金術でレッドは完全・完成を表すと言われ、ステージもそして演奏も、それにシンクロしていったのだ。

セットリスト
第一部
The Hell Hounds Of Krim
Discipline
Cirkus
Lizard
One More Red Nightmare
Red
Moonchild
The Court Of The Crimson King
Neurotica
Indiscipline

第二部
Devil Dogs Of Tessellation Row
Fallen Angel
Easy Money
The ConstruKction Of Light
Cadence And Cascade
Radical Action
Meltdown
Radical Action II
Level Five
アンコール
Starless

『21st Century Schizoid Man』は今回のツアーでマストでないことは、あらかじめわかっていた。そして、この公演の直前2公演の広島と福岡では演奏されていたことから、この日はないだろうとも思っていた。個人的には、最も好きなクリムゾンのアルバム『Red』から、ほぼ全曲に近い4曲を演奏してくれたので、十分満足している。

メンバーの平均年齢はおそらく60代と思われるが、それでこのヴォリュームと熱量は、驚異的以外の何者でもない。ロックをやり続けるのに年齢など関係ないということを、彼らなりのやり方で指し示しているのだと思う。ボブ・ディランやポール・マッカートニー、ローリング・ストーンズ、ニール・ヤングらがそうであるように。

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