アントマン(2015年)
窃盗罪で服役していたスコットは、刑期を終えて出所。しかし定職につくことはできず、離婚した妻のもとにいる幼い娘が慕ってくれていることだけが救いに。結局以前の窃盗団仲間と組んでとある屋敷に忍び込むが、金庫の中にあったのは金ではなく、ヘルメットと革のスーツ。身につけると、スコットはアリのサイズにまで小さくなってしまう。
実は、屋敷の家主で科学者のハンク・ピム博士が、情報を流してわざと盗ませていた。スコットの潜入技術に目をつけていたハンクは、彼にアントマンになることを依頼する。ハンクは、若い頃は元シールドのエージェントにして、初代アントマンでもあった。現在、かつてハンクの弟子だった科学者が縮小技術を解明しつつあり、軍事兵器としてヒドラに売りさばこうとしていた。スコットは、危険な任務だが渋々引き受ける。
マーベル・シネマティック・ユニバースの作品で、世界平和維持組織シールドや、敵対する悪の組織ヒドラが登場。また、スコットがアントマンのスーツを着こなす訓練の過程でアベンジャーズ本部に忍び込み、そこでファルコン(『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』から登場)と対峙する。
スコットは中年で犯罪の前科があって離婚していて、と、およそヒーローらしからぬ主人公。ただ、このキャラ設定が『スパイダーマン』のピーター・パーカーと同様、常人を超越したヒーローではなく、一般人とさして変わらない等身大のヒーロー像で、たくさんいるマーベルのヒーローの中にはこういう人もいていいかなと思わせる。
再婚した元妻、およびその夫の警察官は、当然ながら娘に会いに来るスコットにいい顔はしない。娘がなぜスコットになついているのかが不思議で、2人の間のエピソードが表現されていればよかったのにとは思う。ともあれ、クライマックスでは危機にさらされる娘をスコットがアントマンとして助けることになり、父親としてのメンツを保っている。
アントマンは自身の体を縮小できるだけでなく、アリに機器を取り付けて軍団を形成し、彼らと共に戦う戦術をとることもできる。体が小さくなるというのは、相手に捉えられにくくなる一方、湯船の水が洪水規模になるなど、人間社会の環境そのものが脅威になる。のだが、その辺りはコミカルに描いている。
スコットはポール・ラッドという人、ハンクはマイケル・ダグラス。時代は現代だが、冒頭は1989年の回想になっていて、ハンクがシールドを辞める場面だ。そこには、歳を重ねたハワード・スタークやペギー・カーターの姿もあって、演じているのはもちろん過去のシネマティック・ユニバース作品と同じ人たちだ。
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