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アメリカン・ハッスル(2014年)

アメリカン・ハッスル(2014年)

1970年代。クリーニング店を営むアーヴィングは、愛人のシドニをパートナーとする天才詐欺師でもあった。あるときFBIのリッチーにシドニが逮捕されてしまうが、リッチーは無罪放免と引き換えに、カジノの利権に絡む政治家の逮捕に協力させる。

3人は表向き仲間となるものの、さまざまな人間模様が交錯。逮捕されたシドニはアーヴィンに切り捨てられたと思い、愛人関係を解消しビジネスパートナーに徹することに。リッチーはシドニに好意を寄せ、シドニもまんざらでもなさそうだが、微妙な距離感が残る。アーヴィンの妻ロザリンは子供をタテに離婚を受け入れず、家庭ではアーヴィンは振り回されっぱなしだ。

この年のアカデミー賞に最多11部門ノミネートされたものの、結局無冠。正直、作品賞や監督賞といった、作品トータルにかかる評価を勝ち取るのは難しいのではないかと思っていたが、ひとつもだめとは。序盤、アーヴィンとシドニの経歴を振り返る場面は長すぎたし、後半になっても事態解決・終息の兆しはなく、ラストで急にばたばたと帳尻を合わせたような印象が強い。

しかし、主要キャストの顔ぶれとその力量はすごい。アーヴィンを、シドニを、リッチーをブラッドリー・クーパー、ロザリンを、ターゲットのひとりの市長に。いずれも主役級ばかりだ。更に、マフィアのボスはなんと!この超大物は、宣伝上は告知がなく、劇中ではじめて登場するという格好になっている。

アーヴィンだけでなく、周囲を振り回すぶっとんだロザリンを演じるジェニファー・ローレンスは、『ハンガー・ゲーム』での一途さはまるでなく、しかしそれは、演じ分けができる彼女の実力の現れだ。ジェレミー・レナーは精悍な顔つきの好青年のイメージがあったが、ここでは5人の子供を持つ、誠実さと豪快さと併せ持つ中年を演じている。

そして、なんと言ってもクリスチャン・ベイルに尽きる。役のため体重を20キロ以上増量し、髪の毛をピンセットで抜いたとも言われていて、まさにこれはデ・ニーロ・アプローチ。出っ張った腹を、序盤で早くも露出している。役柄上ほとんどサングラスをかけていることもあり、クリスチャン・ベイルとわからないほどだ。

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