*

バグダッド・カフェ(1987年)

公開日: : 最終更新日:2022/07/09 ヨーロッパ映画

バグダッド・カフェ(1987年)

ドイツのローゼンハイムからアメリカ旅行に来ていた太った中年女ヤスミンは、夫と喧嘩して車を降りてしまう。ヤスミンはやっとのことで「バグダッド・カフェ」という寂れたカフェにたどり着き、そのモーテルに宿泊する。

いつも不機嫌な女主人ブレンダ、じゃじゃ馬娘や赤ん坊の面倒を見ない息子、昼寝ばかりしているバーテン、自称元ハリウッド俳優の画家、女刺青師など、店員も客もくせ者ばかり。ヤスミンはモーテルの掃除をするが、それがブレンダの気に障ってしまう。しかし子供たちはヤスミンになつくようになり、また彼女が披露するマジック目当てに客入りがよくなって、2人の間には奇妙な友情が芽生えるようになる。

この雰囲気や世界観を楽しめるか、楽しめないか。楽しめる人は得だし、楽しめない人はもったいない。セリフは最小限だが(特に前半は)、これは、観る側に解釈を委ねているのだと思う。

確かに、不明なところは少なくない。ヤスミンが夫と喧嘩した原因はわからないし、カフェやモーテルはお世辞にも流行っているとは言えず、ここの人たちはどうやって生活しているのかと思う。しかし、こんなツッコミは野暮だ。

終盤、ヤスミンがカフェでマジックを披露する場面は歓喜に満ち、それまでの気だるく殺伐とした空気が、まるでうそのように思えてしまう。いや、それまでの煮えきらないだらだらとした空気の連続があったからこそ、この大逆転に魅了されてしまうのだ。

監督も俳優も、知らない人ばかり。いや、かろうじてひとりいた。自称元ハリウッド俳優の男を演じていたのは、ジャック・パランス。ワタシが観た中だと、版『バットマン』で、のネイピアが属するマフィアのボス役を演じていた。

関連記事

アメリ(2001年)

パリのモンマルトルに住むアメリは、元軍医の父親からは心臓が悪いと勘違いされて学校には行かせて

記事を読む

グッバイ、レーニン!(日本公開2004年)

ベルリンの壁崩壊前後の東ドイツ。青年アレックスの母親は社会主義に傾倒していたが、心臓発作で倒

記事を読む

ライフ・イズ・ビューティフル(1997年)

第二次世界大戦の開戦前。北イタリアの田舎町にやってきたユダヤ系イタリア人のグイドは、小学校教

記事を読む

キンキーブーツ(2006年)

父の急死で靴工場を相続した主人公チャーリー。しかし工場は倒産直前で、父はそのことを従業員に隠

記事を読む

『パリタクシー』を観た

『パリタクシー』を観た

タクシードライバーのシャルルは、パリ郊外から92歳の老女マドレーヌを客として乗せる。彼女は自

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑