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椎名林檎@さいたまスーパーアリーナ 2014年11月29日

公開日: : 最終更新日:2024/04/09 ライヴ ,

椎名林檎@さいたまスーパーアリーナ 2014年11月29日

でさいたまアリーナというと、6年前のRINGO EXPO以来(もうそんなに経つか)。しかし、加熱ぶりは倍増しているように思えた。グッズを買うべく12時20分に到着したのだが、長くて曲がりくねった列に並び、途中雨にも降られ、買い終えるまでにまるまる3時間かかったからだ。

定刻を10分ほど過ぎたところで、客電が落ちた。ステージを覆う幕に銀河の映像が映し出され、出演アーティストたちの名前が浮かび上がる。かなりの大所帯だ。演奏が始まり幕が落ちると、前方にバンドが、後方ひな壇向かって右には管楽器隊、左には弦楽器隊が陣取っていた。が、林檎は・・・!?

なんと、ステージとは真逆、アリーナ席後方のPAブースから登場。『今』を歌いながらトロッコ上の船に乗って移動してきた。大きな帽子をかぶり、衣装はまるで湯婆婆のようで、表情がまるで見えない。ブルーの光線が飛び交い、オーディエンスが振る手旗が反射していた。林檎は、歌い終える頃にはステージに着くが、壇上に上がることなく消えていった。

続くはなんと『葬列』。『加爾基 精液 栗ノ花』ラストナンバーのこの曲は、つまり一度ソロを「終わらせた」曲に位置すると思っている。壮絶な曲調はおよそライヴ前半に演奏する曲向きではなさそうなところ、それを敢えてやってしまう。東京事変でも、1度少年少女合唱団を動員して披露したことがあったっけ。林檎は、グリーンのドレス姿でやっとステージに姿を見せた。

今回、林檎は衣装をチェンジするペースも早い。グリーンのドレスに続いては純白のウエディングドレス、そしてオレンジのタイトな制服(婦警のイメージ?)、ときている。衣装の徹底ぶりは、彼女だけにとどまらない。オーケストラの人たちは軍服っぽいいでたち、バンドはボーダー柄。機材スタッフは白衣、アリーナのブロック毎に配置されている警備は赤Tシャツだ。

『渦中の男』は演奏と映像のシンクロで、映像には林檎に加え2人のダンサーがいて、その後3人がステージにお目見えするという演出だ。ダンサーはAYAとBAMBIという人で、キレのいい動きとファッションモデルのような無表情さはインパクトがある。そして、この2人を従えるように歌い踊る、林檎はさすがだ。

『Between Today And Tomorrow』では、ヒイズミマサユ機のピアノ、斎藤ネコのバイオリン、佐藤芳明のアコーディオンが主体だが、映像ではそれぞれの楽器がメラメラ燃えているエフェクトが。『決定的三分間』『能動的三分間』と、曲並びのシャレも効いている。『能動的』では、ギターの浮雲がヴォーカルでステージ前方に登場。映像は、時間表示のカウンターが無数に並び、右から左へと流れていく。しかし、ところどころに電車がどうとか天候がどうとか、など、別の文字列も散りばめられていた。事変のときからそうだったが、この曲は終盤になると緊張感が増してくる。そして曲が終わったその瞬間こそ、映像のカウンターがゼロになった瞬間とシンクロするのだ。コレは、事変が成し遂げた「発明」のひとつだと思う。

『望遠鏡の外の景色』は、メンバー紹介コーナーも兼ねていた。今回のバンドおよびオーケストラの巨大編成は、Galactic Orchestra(銀河帝国楽団)だそうだ。映像により、さいたまスーパーアリーナの楽屋口から入ってくる各メンバーを、モノクロで紹介していく。ヒイズミ、浮雲、斉藤ネコのときにひときわ歓声が大きくなった。というか、浮雲は自転車乗ったまま構内に入ってきてるし(笑)。

サッカーW杯テーマソング『NIPPON』は、ショウが終盤に差し掛かったことを感じさせる。林檎、AYA、BAMBIは純白に赤いラインが入った長ランで、一瞬『宇宙戦艦ヤマト』の古代進の制服に見えた。ダンサー2人は両サイドに陣取り、応援団風の振りをしていた。

続く『自由へ道連れ』で、林檎はまたやってくれた。スピーカーを手に歌い出したかと思うと、ステージからゴンドラに乗り、アリーナ後方のPA席まで移動。スケボーを滑っているという体で、時折片足で地を蹴る仕草をする。オープニングもそうだったが、林檎がアリーナクラスのライヴでオーディエンスとの距離感を少しでも縮めようというアクションをしたのは、今回がはじめてだと思う。幸運にも何度か最前列で彼女を観ているワタシでも、理性が吹っ飛びそうだ。なぜって、彼女がこういうアプローチをしてくれているのが、たまらなく嬉しいからだ。

『流行』はRHYMSTERのMummy-Dとのコラボレーションだが、今回Mummy-Dの役を担うのは浮雲だ。そして林檎は白学ランを脱ぎゴールドラメのスリップドレス姿に。そして曲の終わり間際になると自らスカートを剥ぎ取りゴールドのレオタード姿に!これまでとことんやってきた彼女だが、この突き抜けっぷりは最早他の追随を許さないのではないだろうか。

ステージセットはネオンで彩られ、キャバレーと化したステージから、『静かなる逆襲』で本編が終了。しかし、すたすたとステージを去って行く林檎やメンバーに場内はあっけに取られた風になり、しばらくしてからやっとアンコールを求める拍手が沸くようになった。

林檎はレオタードにファーをまとって姿を見せた。実は、この日林檎は全くMCをしていなかったのだが、ここでやっとしゃべった。「なんにもしゃべらんと、いきたかったんですもの」といったようなことを言っていた気がする。アンコールを『ありきたりな女』を熱唱して締め括ると、スクリーンには映画のエンドロールのように演者たちの名前が下から上へと流れていった。

セットリスト
1.今
2.葬列
3.赤道を越えたら
4.都合のいい身体
5.やっつけ仕事
6.走れゎナンバー
7.渦中の男
8.遭難
9.JL005便で
10.私の愛する人
11.禁じられた遊び
12.暗夜の心中立て
13.Between Today And Tomorrow
14.決定的三分間
15.能動的三分間
16.ちちんぷいぷい
17.密偵物語
18.殺し屋危機一髪
19.望遠鏡の外の景色
20.最果てが見たい
21.NIPPON
22.自由へ道連れ
23.流行
24.主演の女
25.静かなる逆襲
Encore
26.マヤカシ優男
27.ありきたりな女
28.BON VOYAGE

この日、ワタシはステージ向かって右の200レベルつまり1階スタンド席にいた。ステージやアリーナの様子を、ほぼ俯瞰で観ていた感じだ。翌30日はアリーナ席なので、今度は臨場感を全身に感じながらライヴを楽しみたい。

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