イギーの複雑なレーベルの枠を超え、ストゥージズ時代から93年の『American Caesar』までの中から、17曲を選りすぐったベスト盤。ややはしょりすぎのきらいはあるが、イギーの活動を1枚に凝縮したお得用として、初心者にはもちろん熱心なファンでも安心してリピートして聴ける1枚。昔の曲が全く古びておらず、緊張感が伝わってくるのはさすがだ。日本盤では永瀬正敏がキャッチコピーを寄せており、またライナーノーツは1曲ずつ丹念に解説してくれていて有難い。

　88年『Instinct』のツアーを中心に、77年や86年の音源をも加えて編集された、ライヴベスト。この人の魅力はスタジオレコーディング作よりも断然ライヴであり、選曲もほぼベストであることから、『Nude & Rude』以上に初心者にお薦めできる。複数の年代の音を集約しても、つぎはぎ感がほとんどないのもさすが。

　88年に、『Instinct』リリースにリンクして同名のラジオ番組に出演したときのライヴ音源。当初はプロモーション用として一般リリースされなかったが、97年に正規盤としてCD化された。ギタリストはアンディ･マッコイで、ハノイ･ロックス解散直後の参加というタイミング。『Best Of...Live』には、今作からは5曲がセレクトされている。

　今や日本の夏の風物詩としてすっかり定着した感のある、フジ･ロック･フェスティバル。現在の会場は苗場スキー場だが、1度だけ98年に東京で開催していて、その音源がCD化されている。イギーは初日ホワイトステージのトリを務め、オーディエンスをステージに上げるわ、3度に渡るアンコールを演るわで、今や語り草になっている伝説的ステージを展開。今作の冒頭に抜擢された『I Wanna Be Your Dog』は、言わばこのときのフジを象徴するパフォーマンスだ。

　イギーのトリビュートアルバムで、有名無名のアーティストたちがリスペクトを込めて原曲を完コピ、もしくは崩しまくっている。ジョーイ･ラモーンにレッチリという、今やトリビュート「される」側にいると言ってもいいアーティストたちが名を連ねていることに、イギーのステータスが如何に特異であるかが伺える。個人的ベストは、ラストの『We Will Fall』。レニー･ケイはパティ･スミス･バンドのギタリストであり、『Stooges』のレビューをローリング･ストーン誌に寄稿したという因縁がある。

　91年の『Brick By Brick』ツアーによる、パリ公演を収録したライヴビデオ。冒頭の『Raw Power』からもう全開でブチ切れ状態で、上半身裸でくねくね動く独特のパフォーマンスになる。まあ動く動く。相変わらず腕を切って血を流してるし。後半はもう名曲のオンパレードで、更にはロック・スタンダードと言ってもいい『Louie Loiue』、そしてジミヘンの『Foxy Lady』ときた。イギーの映像作品が乏しい中、今作はマスト。またライヴ中イギーが下半身を露出するシーンがあるのだが、国内盤はどうやらぼかしが入っている様子だ(輸入盤のビデオはぼかしなし)。