Fuji Rock Festival'05 Day 3-Vol.4 New Order







グリーンステージに戻ってきた。3日目の夜ともなると帰途につく人もいるはずだが、それでもすごい人の数だ。そして、いよいよニュー・オーダー登場。個人的には4年前のフジではニール・ヤングを観ていたために観ることができず、今回が初となる。


メンバーが姿を見せ、場内は熱狂の渦に。そして出だしはいきなり『Cristal』『Regret』という、ポップチューン2連発だ。今や「ヘタ」の代名詞のようなニュー・オーダーだが、意外と言っては失礼だが、演奏はまずまずだ。バーナード・サムナーがステージ中央に陣取り、ギターを弾きながら熱唱。なぜかランDMCのTシャツを着ている。ピーター・フックはロン毛になっていて、ステージ右に陣取りベースをブイブイ言わせている。バーナードの後方にドラムのスティーヴ・モリス、そして向かって左側には、新メンバーである元マリオンのフィル・カニンガムだ。





バーナードがMCで、次の曲は日本語で歌うんだ、モニターに字幕も出るからみんなも一緒に歌ってほしい、というようなことを言った。その曲とは、新譜の先行シングルでもある『Krafty』だ。





ある朝君は目が覚めて 誰かの泣き声がする


線でなぞった今日の雨も 降り止む前に


毎朝憂鬱抱きしめて バスから見える君の影


過ぎ去る前に 僕は手を伸ばす


先に暗号で 君を成さない


愛に世界を 僕に未来を


明日を終わらせない 上がる熱も


君だけじゃない 君の未来を






過去に日本語詞で歌われた洋楽曲といえば、ポリスの『Do Do Do De Da Da Da』やクラフトワークの『Dentaku』などがあるが、この曲はそれに次ぐ偉業だ。いやもっと言えば、2万人は集まっているであろうこのグリーンステージで、皆が大合唱しているこの瞬間は、とてつもない快挙だ。


『Krafty』の日本語版は、日本のレコード会社がニュー・オーダー側に何か日本向けにスペシャルな企画をと打診したときに、だったらこんなのはどうだとバーナードが提案してきたことのようだ。日本語詞はアジカンの後藤くんが担当し、まずまずの歌詞ができあがった。彼らのフジ出演が決まったとき、私はこの曲が日本語で歌われることを秘かに期待したのだが、一方でそこまではしてくれないだろうという諦めの気持ちもあった。それが、これだ。繰り返すが、この瞬間はとてつもない快挙だ。


ライヴの選曲は、新譜『Waiting For The Siren's Call』プラスベストヒットというようになっていて、お馴染みの曲も次々に連射される。『True Faith』『Bizarre Love Triangle』、更にはジョイ・ディヴィジョン時代の『Transmission』に『Love Will Tear Us Apart』と来た。これらをグリーンで聴けるのは痛快で、そしてこの上なく嬉しい。やがてピーター・フックはステージを降り、ベースを弾きながらフロア前を走りまくり、詰めているオーディエンスとタッチを交わす。4年前はホワイトステージのトリで入場規制がかかったので、彼らにはグリーンステージこそが相応しい。





本編はジョイ・ディヴィジョンの『Temptation』で締め、あまり間を置かずにアンコールへ。そしてオーラスは、皆が待ちに待っていたあの曲だ。バーナードはギターを手放して左側のキーボードの方へ行き、一方のピーターもベースではなくシンセドラムの前に陣取っている。そう、その曲とはもちろん『Blue Monday』。ほんとうは暗くて重苦しい歌詞の曲なのだが、今やニュー・オーダーを代表するアンセムになっているのは疑いようがない。ステージからはスモークが炊かれる中、演奏は淡々と進んだ。ともすればヘタさがモロに露呈してしまう曲でもあるのだが、今回は技術的に特に問題はなかった。ラスト、ピーターはべースをシンセドラム叩きつけて壊してしまい、満足そうにステージを後にした。

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(2005.8.19.)
















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