Fuji Rock Festival'01 Day 3-Vol.3 Tool/Ani DiFranco/Eminem







去年のフジロックの3日目、自身のソロユニットであるア・パーフェクト・サークルとしてフジロックに出演したメイナード・ジェームス・キーナンは、ステージでこう言った。来年また来る、と。その約束は果たされた。今度はトゥールとして。そして、新作『Laterralus』を引っ提げて。


ステージ後方には巨大なスクリーン。そして左後方にも小さなスクリーンがある。スクリーンにはPVなのかライヴ用に作られたものなのか、曲に合わせるようにして映像が移り変わって行く。映像はアルバムのディスクにもあった目玉によるアーチから始まり、血管や細胞ががうにょうにょ動いたり、人なのかアンドロイドなのかよくわからないけどそれが妙な踊りをしてみせたり、という、ほとんど全編に渡ってグロテスクなものばかり。ステージ左のスクリーンは、通常ならステージ上のメンバーを写すのだけどこれも映像オンリーで、ステージ上の様子がよくわからない。


メンバーは3人まで確認できたが、肝心のメイナードが見当たらない。なのでステージに接近してよっく見てみると、小さなスクリーンの前に人影がちらちらと写る。どうやらこれがメイナードで、全身にブルーのペイントを施しているようだ。メイナードはステージ前方に乗り出すことなく終始その位置で映像と同じようにうにょうにょと動きながら歌う。他の人のトゥールの見方とかなり異なっているかもしれないが、私はトゥールの音楽は若干暗めではあるけどヘヴィーロックというよりはポップセンスにも長けたバランスのとれたロックだと思う。私は興奮したというより、むしろ楽な気持ちでライヴを見ていた。

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 レッドマーキーの大トリはアニー・ディフランコだ。3日目のマーキーはシンガーソングライターの実力者が顔を揃えたが、そうした中での彼女の起用は充分にうなづけるところである。ウッドベースや管楽器というバンド構成で、まるでジャズのライヴを見ているかのような気にさせられるが、やはり圧巻は彼女の歌とギタープレイにある。曲によってはルー・リードを思わせるような早口の歌詞がポンポンと飛び出し、ギターはかなりまめに交換していたけどそのほとんどがアコースティックギターで、小柄な彼女が手にするには結構重たそうだ。なのにそれをものともせず、激しく弾きまくる。凄いというより、むしろ安心して観ていられるライヴだった。





これほど来日が待たれたアーティストはいなかっただろう。グリーン大トリのエミネム。白人として成功したラッパーだが、その過激な歌詞といい、波乱に満ちた私生活といい、入念に構築されたコンセプトやキャラクターは、まさにロックそのものだ。


まずはスクリーンに映像が。映画「ブレアウィッチ・プロジェクト」のようにハンディカメラを持ってそのアングルに写る映像に沿って画面が移動していく。このカメラを持った人はエミネムの家を訪れるという設定になっていて、いろいろ中を徘徊するが、やがて壁に書きなぐられた無数の文字を発見。「My name is My name is My name is...」「Marshal Mathers Marshal Mathers Marshal Mathers...」するとステージ上にはジェイソンのようなお面をかぶり、チェーンソーを持ったひとりの男が。チェーンソーを投げ捨て、お面を取ったその顔は・・・、エミネムだ!


今回はD12の面々も連れてきていて、すぐさまステージに登場。バリバリのヒップホップ大会となる。これは個人的に予想できたことで、如何にエミネムと言えど、ラッパーたったひとりで野外ステージでライヴをやるのはキツかったと思う。が、やがてD12はステージを後にし、エミネムひとりだけがステージに残る。


もちろん英語だが、日本人にも聞き取りやすいようにゆっくりとしゃべる。次の曲は、一緒に歌って欲しいんだ。そしてかかったのは、早くも『Stan』!Dideの歌声が苗場の夜に響く。ラップの部分はもちろんエミネムが、そしてDideのところをオーディエンスに歌わせようとするエミネム。しかし、なあ。サビのもっと簡単な箇所だけならともかく、あれを歌えというのはかなりキツい。一生懸命にあおるエミネムだが、それが無理と判断するや曲を途中で中断。またゆっくりとしたMCで話し、次の曲に入った。





私は私自身のフジロック'01の目玉アーティストを観るため、ここで次なる行動を起こす。エミネムのライヴこんなんで大丈夫かなと思ったけど、後でいろいろ話を聞くと、後半はアニメーションの映像があったり、2度のアンコールがあったりということで、それ相当に充実したライヴになった様子だ。


(2001.8.6.)
















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