Fuji Rock Awakening Vol.6 ラフィータフィー







今年が実に3度目の出演となる忌野清志郎。'98のときは参加に批判的だった洋楽ロックファンをねじ伏せてみせ、'99はラフィータフィーのデビューライヴをぶつけてきた清志郎。テーマ曲『田舎へ行こう』まで作り上げ、今やフジロックにはなくてはならない存在だ。そして今年もラフィータフィーでの登場だ。


昨年は猛暑の中、丹下左善姿で登場した清志郎。しかし今年はオレンジのTシャツ姿だ。バンドメンバーも次々にぞろぞろと姿を見せる中、Saxは武田真治!去年はステージに出てきたこと自体が既にインパクトだったが、今年は肝心の演奏の方でしっかりとオーディエンスの心を掴む。さすがだ。もっとも、今年はこのメンバーでツアーも行っているようだし、二転三転したもののアルバム『夏の十字架』も発売された。おのれが前面に出るというわけではなく、自らもバンドメンバーの一員として音楽に向き合おうとする清志郎の姿がすばらしい。そしてMCも相変わらずだ。



イエー!



イエーベイベー!



フジロックベイベー!



イエーって言えー(爆)!








私は数年前のドラマで、清志郎が主演の緒方直人の義兄役で出演していたその姿を見て悲しく思ったことがあった。清志郎が演じていたのは、定職にも就かず居候同然で緒方直人の家に転がり込んで駆け落ち同然で結婚してしまい、それでもミュージシャンになる夢を捨てきれずにギターを抱えている、というもので、主人公の緒方直人とはウマが合うが、父親で一流銀行マン役の渡瀬恒彦からは白い目で見られている、という役どころだったのだ。清志郎にこういう役を用意したのも腹立たしかったし、受けてしまった清志郎にも腹立たしさを覚えた。演技者でもない、ミュージシャンでもない、中途半端な清志郎がここにはいた。


しかし、だ。フジロックで3年連続ナマの清志郎を観るにつけ、そういった苦い想いは払拭されつつある。例えばボブ・ディランのように、例えばポール・マッカートニーやキース・リチャーズのように、ミュージシャンとして長く活動し、人間としても男としてもカッコよく年を取っている洋楽アーティストは数多くいる。だけど、日本にだっているじゃないか。カッコよく年とってるヤツが。変に老成せず、変に偉くもならず、休んで雲隠れすることもなく、転がり続けているヤツが。私にとっての清志郎というのは、そういう存在だ。


昨年はフジロックの後に韓国でもフェスが開催され、フジから転戦して参加するアーティストも結構いたようだ。が、今年は韓国のフェスは開催不能に。ラフィータフィーもそのフェスに出演する予定だったそうで、「そのフェスのために練習した」南北朝鮮のことを歌った曲をココで披露してみせる。そして…、








『パンク君が代』!









昨年のフジで初めて放たれたこの曲。日の丸君が代問題で学校が揺れ、国会でも物議を醸す中、こういう解釈もあるぜ!という清志郎なりのやり方だった。が、予定通りに槍玉に上げられ、メジャーレーベルは発売を拒否し、自粛を促す始末。しかし、清志郎はそんなことには屈しない。



きみがよーー



きみがよーー



なえばでよーー



こんなによーー



盛り上がってくれてよーー



最高だよーー








前日のブランキーといい清志郎といい、この日本のミュージシャンの充実ぶりといったら何なのだろう。私は今まで洋楽を中心に聴いてきていた。日本人は日本にいるしなあ。洋楽アーティストは見逃したら次はいつ日本に来るかわからないし、もしかしたら死んじゃうかもしれない。別に拒否もしていないし嫌ってもいないのだが、こういった考えから私は日本のミュージシャンを意図的に避けるようにしていた。それがそうではなくなったのは、私が自分のサイトを立ち上げ、ネットで交流する友人から日本のバンドの良さを教えられてのことであり、そしてこのフジロックがあったればこそである。ここにもマジックは発生した。ここにもフジロックが覚醒する瞬間を感じることができたのだ。











(2000.8.15.)
















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