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ゴッドファーザー(1972年)

ゴッドファーザー(1972年)

終戦直後のニューヨークは、5大マフィアによって均衡が保たれていた。タッタリアファミリーの後ろ楯を受けた麻薬密売人ソロッツォが、コルレオーネファミリーのヴィトーに話を持ちかけるが、ヴィトーは麻薬をビジネスにすることを断る。その後、部下のルカがタッタリアの刺客に殺害され、ヴィトー自身も銃弾を浴びて重傷を負ってしまう。

ヴィトーには、3人の息子とひとり娘がいた。気が短く怒りっぽい長男ソニー、いつも怯えている次男フレド、冷静で頭はいいがマフィアとは一線を引いている三男マイケル、そして娘のコニー。跡取りはいちおうソニーだが、ソロッツォは交渉相手にマイケルを指名。マイケルは父を襲撃された怒りを秘め、ソロッツォを買収された警部ともども射殺する。

戦後のアメリカの裏の世界を舞台とした、壮大な物語の1作目だ。登場するキャラクターがやたらと多いが、覚えにくいというストレスは少ない。ヴィトーは、マイケルは、ソニーはジェームズ・カーン、フレドはジョン・カザール、コニーはタリア・シャイア、ヴィトーの養子で相談役のトムはロバート・デュバル、マイケルの妻ケイはダイアン・キートン。超豪華キャストだ。

シリーズ全体で見ればマイケルが中心だが、この1作目ではヴィトーとマイケルの父子ダブル主演の様相だ。マーロン・ブランドは50年代に俳優としてピークを迎えたものの、60年代にはハリウッドから干され、ヴィトー役に再起を賭けていた。の伝記に、ブランドはヴィトー役のオーディションに1度落ち、適役がいなかったため再度オーディションが行われた際、口に綿を含み腹部にも詰め物をして貫禄のある見映えにして、役を勝ち取ったというエピソードが書かれていたのを、読んだことがあった。

アル・パチーノはこの時点で既に30歳を越えていたが、まだ無名の役者だった。マイケル役には、やウォーレン・ベイティらの名前もあがっていたが、監督が強く推したことでパチーノに決まった。この役をきっかけとして、パチーノは役者として飛躍していった。物語の序盤では自ら志願して戦地に出向いた好青年だったのが、終盤では一家を仕切り他のファミリーを一掃する冷徹なリーダーになっていて、役とはいえ、とても同一人物とは思えない変貌ぶりだ。

監督は、。本作は、「地獄の黙示録」と並ぶこの人の代表作だ。また、家族を作品に出演させる監督の代表格とも思っていて、タリア・シャイアは実妹だ。実の娘ソフィアは、「PART3」 ではマイケルの長女メアリー役で出演しているが、なんと本作では赤ん坊の状態でコニーの息子役として洗礼式に出演していた。これは知らなかった。

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