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美術手帖8月号増刊 「バンド・デシネ」のすべて

美術手帖8月号増刊 「バンド・デシネ」のすべて

日本にマンガ、アメリカにアメコミがあるように、フランスには「バンド・デシネ」と呼ばれるフランス版のマンガがある。2016年に六本木ヒルズで「ルーヴルNo.9」 という展示が行われたのにリンクして、美術手帖が増刊号を刊行していた。

「ルーヴル No.9」は、マンガを9番目の芸術と位置づけてのことだ。選ばれし日仏9人のマンガ家たちが、ルーヴル美術館をテーマにしたマンガを描き、展示されていた。この展示にはワタシも足を運んだが、荒木飛呂彦くらいしかピンと来ていなかった(汗)。しかし、ほぼ1年前にパリに旅行してルーヴル美術館を訪れ、その後でこの書を読むと、展示物の写真を見るたびにテンションがあがった。

バンド・デシネとマンガとの対比は、「ユリイカ 2013年3月臨時増刊号 総特集=世界マンガ大系」でもされていたが、ここでも言及されていた。バンド・デシネは、基本オールカラー、週刊や月刊のサイクルでの刊行はなく、年に1冊出ればいい方とのこと。そして、バンド・デシネだけで生計を立てている人はごくわずかで、他に仕事を持ちながら描いているそうだ。日本とは大きく様相が異なるが、出版社や雑誌が乱立する日本は、それだけ層が厚いことになるのかなと思った。

バンド・デシネを代表する作家のコーナー、筆頭で紹介されるのはやはりメビウスことジャンヌ・モローだった。大友克洋や宮崎駿らが影響を受けていると公言していて、その緻密な描写は素晴らしい。代表作のひとつ『Long Tomorrow』で描かれる世界観は、映画「ブレードランナー」の元ネタとも言われている。もちろん、作家全員がメビウスのタッチということもなく、荒々しいハードタッチや、ほのぼのとした一見子供向けのソフトタッチの作家もいる。

フランスで最も有名な日本のマンガ家は、ダントツで谷口ジローという人だそうだ。終盤には、その谷口やヤマザキマリ、松本大洋のインタビューが掲載されている。荒木飛呂彦は、『岸辺露伴ルーヴルへ行く』が刊行されるまでは、フランスではほとんど知られていなかったとのことだ。

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