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ブロークン・フラワーズ(2005年)

ブロークン・フラワーズ(2005年)

元プレイボーイだったという、初老の男ドン。独身で気ままに生活していたが、ある日差出人不明の封書が届き、もうすぐ成人になる自分の息子がいて、父親探しの旅に出たと知らされる。ドンは隣人にけしかけられる形で、当時付き合っていた女性たちをリストアップし、ひとりずつ訪ねて歩く。

行く先々で出会う、ドンとかつての恋人たちとのやりとりは、ユーモラスだ。結局、会いに行った女性はいずれも手紙の女性とは異なり、誰が手紙を出したのかはわからずじまい。事実は何ひとつ明確にならないまま物語は終わってしまうのだが、全編に漂う乾いた空気は微妙でありながらも妙にすがすがしく、真実の追求など二の次という気にさせられてしまう。

ドンはビル・マーレイで、キザでもダンディーでもなく、むしろさえない初老の独身男を演じている。昔の彼女は4人登場するのだが、シャロン・ストーンやティルダ・スウィントン、ジェシカ・ラングといった面々。ここまでは割と知った名前だが、あとひとりはフランセス・コンロイという人。調べてみたら、「ジョーカー」で主人公アーサーの母親を演じていた人だった。隣人を演じるのは、ジェフリー・ライトだ。

監督はジム・ジャームッシュ。登場人物に女性が多いせいもあってか、この人の作品にしては(と言っては語弊があるのかもしれないが)カラフルで華やかなイメージの作品だ。ただ、手紙の女性がはっきりしないことや、息子らしき若者がちらつくなどの描写や、それらを説明的にせず見る側の解釈に委ねる手法は、この人ならではだ。

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