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ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel)『So 25th Anniversary Collection』

ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel)『So 25th Anniversary Collection』

のアルバムで商業的に最も成功したのが、1986年リリースの『So』だ。ヒットシングルを多数備え、この1枚でカルトスターからロックスターに華麗なる転身を遂げた。2012年に、25周年を記念したボックスがリリースされた。なんと、8枚組というヴォリュームだ。

ディスク1はオリジナルアルバムのリマスター盤、ディスク2と3は87年アテネでのライブ、ディスク4はオリジナルのDNA盤と題されている。ディスク5はアテネライブの映像、ディスク6は「クラシックアルバム」シリーズの映像でアルバム制作秘話、ディスク7と8はアナログ盤だ。

目玉は、ディスク4のDNA盤だろう。オリジナルは計46分だが、こちらは59分と少し伸びている。ピーターによると、完成版に至るまでのデモ音源をつなぎ合わせ整理したとのこと。冒頭『Red Rain』は、イントロがほぼなくいきなり歌い出しになっている。『Don't Give Up』ではケイト・ブッシュのパートもピーターが歌い、こういうバージョンかと思いきや、後半ではケイトとのデュエットになっている。音としては、エスニックなアレンジやエレクトロニクス加工が原曲と異なる形で加えられ、一般よりもマニア向けの仕上がりだ。

87年ライブについては、音源こそ初出だが、映像は実はVHSでは『POV』としてリリースされていた映像の再編集盤だった。但し、『POV』 では合間にアフリカの貧困層の映像などが挿入されているが、今回のDVDではステージ映像オンリーになっていて、パフォーマンスに没入できる。ステージには装飾らしい装飾もなく、その分ピーターの歌やギターのデヴィッド・ローズ、ベースのトニー・レヴィンらの演奏が一層映えている。アンコールではユッスー・ンドゥールを迎え、第三世界色が濃くなる。この時期エイドものが台頭していたし、この人もひと役買っていたので、頷ける流れだ。

もう1枚のDVDは、正直言っていただけない。ワタシが所有しているのは輸入盤に日本語対訳・解説のブックレットがついたものだが、DVDそのものは日本語字幕未対応で、そればかりかブックレットにも対訳がない。ピーターやバンドメンバーなどがレコーディングの様子を語るのだが、どんなことをしゃべっているのかさっぱりわからない。ドキュメンタリーで字幕がないのは、地獄もいいところだ。

というわけで、このボックスは蔵出しではなく、これまでに作品に付随したアイテムを集約した、集大成にあたる。各アイテムを個別に持っている人にとっては、あまり魅力がないアイテムになるかな。

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