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「イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語」を観た

イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語

1976年のマンチェスター。青年スティーヴンは、ライブに行って批判的な評を書いては音楽誌に投稿していた。両親は離婚し父は家を出てしまい、母の負担を減らすべく職に就くが、遅刻や欠勤ばかりで仕事に身が入っていない。

詩を書きためていたスティーヴンは、アートスクールの女学生リンダーやギタリスト志望のビリーらと交流し、やがてバンドのヴォーカルとしてステージに立つ。リンダーは卒業後夢の実現のため、ビリーはプロのバンドのツアーギタリストに抜擢されて、それぞれへ。置いていかれた気になったスティーヴンは、精神不安定になる。

結成前のスティーヴン・を描いた伝記映画。ただし非公認で、必ずしも事実に即して描かれてはいないとのこと。監督がマンチェスター出身で、こうだったらという願望が込められているそうだ。

ここでのスティーヴンは、うじうじしていて煮え切らない、とにかくさえない青年だ。なのに、女性には結構モテている(本人はまるで意に介していないし、後には・・・)。

内向きな彼の意思が、いつ、何がきっかけで外に向かうのかと思いながら観ていた。その最初は、ビリーと共にステージに立ったとき。しかし自分はロンドンには行けず、引きこもりになる。次の兆しは、母のことばだ。母は常にスティーヴンを支え、彼も母には心を開いていた。そしてその少し後に、ビリーの友人のギタリスト、ジョニー(・マー)がスティーヴンに声をかけてくる。

場面は、スティーヴンの部屋がとても多い。訪れる友人たちは、彼のレコードのコレクションや本棚の書物に関心を示す。ロキシー・ジックの曲をかけたり、壁にはジェームズ・ディーンのポスターが貼られていたりしていて、観ていてにやにやさせられる。

・グループのライブを観に行くシーンもあるのだが、会場の雰囲気を映しつつ別のアーティストの曲をBGMとして流していて、ジョニー・ロットン役の人も、パティ・スミス役の人も出てこない。権利関係もあるのだろうが、あくまでスティーヴンやリンダーにフォーカスを当てているのだろう。

キャストは、ワタシがわかったのはスティーヴン役のジャック・ロウデンのみ。『ダンケルク』でのスピットファイヤのパイロット役、『メアリーとエリザベス』でのメアリーの夫役で観たことがある。もともとハンサムな人だが、前半は長髪で甘いマスク、後半は髪を切ってモリッシーに近い風貌になっている。感情を表に出さない役柄につき、目の動きでの演技が多かったように思う。

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