ミッション：インポッシブル/フォールアウト（ネタバレあり）

スパイ組織IMFのイーサン・ハントのチームは、奪われたプルトニウムを回収しようとしていたが、直前で仲間が襲われてしまい、その隙に謎の組織にプルトニウムを奪われてしまう。謎の組織はシンジケートの残党によるアポストルとされ、イーサンは同時核爆発テロを未然に防ぐミッションを受ける。しかし、CIAはイーサンの失敗に納得がいかず、腕利きエージェントのウォーカーを監視役につける。

シリーズ6作目だが、過去の作品に出演したキャラクターたちも登場する。前作「ローグ・ネイション」でラスボスだったシンジケートのソロモン・レーンは、逮捕拘束され各国をたらい回しにされる中で、プルトニウムを取り戻す裏取引の交換条件になる。同じく前作でレーンを追っていた、MI6のエージェントのイルサも引き続き登場。イーサンのチーム、ベンジーとルーサー、上官のアランもだ。

そして、イーサンの元妻ジュリアもだ。冒頭のイーサンの夢オチのみかと思いきや、クライマックスの地に偶然居合わせてしまい、そこでイーサンと再会する。ジュリアは「M:i:III」に登場し、「ゴースト・プロトコル」ではラストにちらっとだけ出演。イーサンが、自分と一緒にいては彼女を危険にさらすことになると考え、別々の道を歩むことになっていたのだ。

では新キャラだが、CIAからのお目付け役であるウォーカーが、今回のキーマンになる。前半は同じ目的のためにイーサンと協力するのだが、実はこの人のほんとうの目的は・・・。

キャストは、トム・クルーズやサイモン・ペグ、アレック・ボールドウィンらお馴染みの面々に加え、前作からのイルサは引き続きレベッカ・ファーガソンが、ジュリアはもちろんミシェル・モナハンが演じている。ウォーカーは、ヘンリー・カヴィル。「ジャスティス・リーグ」でのスーパーマン役は板につきつつあるが、スパイ作品は既に「コードネーム U.N.C.L.E.」に出演済みだ。身体能力の高さを活かしアクションをこなせば、一筋縄ではいかないクセの強い役柄を演じていて、イーサンとの対比も興味深い。

毎回トム・クルーズによる過激なアクションが話題だが、いや今回こそは史上最高だ。まずは前半。ソロモン・レーンの護送車をめぐるパリ市内でのカーチェイスで、なんとトム・クルーズはノーヘルでバイクを乗り回している。ほとんどのアクション映画、バイクシーンではライダーはヘルメットをかぶるかサングラスをかけている。それは、スタントマンが乗っているのを少し遠目で撮影することで、俳優本人が乗っているように見せるためだ。しかし、今回トムが危険なチェイスをおこなっていることを自ら証明した。おそらく全部ではなく、一部はスタントを使っているとは思うが、それでもすごい。あと、ヘンリー・カヴィルも同じくノーヘルでバイクに乗っていた。

そして、終盤クライマックス。核爆発を阻止せんとヘリコプターを追いかけようとするトムは、まず追う方のヘリに飛び乗り、落下してヘリがぶら下げていた荷物の下に落ち、またよじ登ってヘリのパイロットをブチのめし、自ら操縦して組織のヘリを追う。自らヘリをぶつけて2機とも墜落させ、数千メートルの山岳の崖の上で最後の対決をする。

過去の作品で話題になったアクションシーンは、その多くがストーリーの本筋に関連しない、アクションのためのアクションだった。しかし、今回は違う。ストーリーの中で、なくてはならない場面として機能している。やる以上は前作を超えたものを見せるという、トムの意地とプライドが伝わってくる。

シリーズはまだまだ続くと思われるが、この先トムの周辺にも変化がありそうだ。イルサがチームに入りそうな予感だし、ここまでは微妙な距離感だが、イーサンとは深い仲になるのかも。今作ではジュリアと対比する格好にもなっていて、面白い。レベッカ・ファーガソンとミシェル・モナハンは、雰囲気が少し似ている。