パティ・スミス（Patti Smith）『Dancing Barefoot』

パティ・スミスのVHSビデオを観たことがあった。このビデオ、パッケージこそ若きパティが熱唱しているフォトになっているが、その内容は必ずしもパティだけを追ったものではない（ということを実際に観てからわかった）。真の主役はアイヴァン・クラールという人で、このビデオは彼と彼と関わりのあった人のインタビュー及びライヴシーンで綴った、ドキュメンタリー作品だ。

アイヴァン・クラールは、70's後半はパティ・スミス・グループの一員として活動。作品の序盤は、同時代に活躍したブロンディやトーキングヘッズのメンバー、及びパティやレニー・ケイなどのインタビューが中心だ。しかしパティがアルバム『Wave』を最後に活動を停止すると、以降はセッションミュージシャンとして、イギー・ポップやジョン・ウェイト（懐かしい名前だなあ）のバンドメンバーとなる。そしてついには、自らがフロントマンとなるバンドを結成。そこで自らヴォーカルを取って歌っているのが、パティのヒット曲でありこの作品のタイトルにもなっている『Dancing Barefoot』だ。

このビデオは輸入盤で日本語の字幕スーパーはないのだが、アイヴァンはどうやらロシア語で話しているらしく、そのときだけ英語の字幕が出る。インタビューに答えるパティは、おそらく活動再開後と思われるが、表情がとても明るくてびっくり。パッケージを見回して制作年を見ると、1994年となっている。どうやら、夫や友人の死といった、彼女に次々と訪れる悲劇の少し前の時期に収録されたようだ。