前日と同じくらいの、時刻が午後8時を少し回ったときに客電が落ち、SEが鳴り響いた。まだ照明の当たらないステージにメンバーが登場してスタンバイし、『15 Step』でスタート。最終公演ということで、今回のツアー・スタンダードの幕開けに戻したようだ。続くは『Airbag』〜『Just』と5日の公演をそのまま踏襲し、そして前日はオープニングだった『All I Need』となった。お次が、前日披露された『Kid A』で、なんだか来日公演を総括するかのようなセットリストの様相を呈してきた。
そうした中でもやはり微妙に日替わり選曲があって、映画「ロミオとジュリエット」に提供した『Talk Show Host』、『Kid A』からの『In Limbo』など、嬉しいセレクトが入ってくる。そして、『The Gloaming』〜『A Wolf At The Door』と、前作『Hail To The Thief』から連続で来た。特に後者は、『Hail 〜』のラストナンバー。レディヘのアルバムのラスト曲はどれも聴きごたえがあり、不思議な輝きを放っているのだが、テクノロジーを全般に駆使している『Hail 〜』にあって、『A Wolf At The Door』は比較的シンプルなアレンジで、混沌とした曲調で、淡々と歌い上げるトムのヴォーカルがメインに据えられている。特に今回のツアーでは『Hail 〜』からの曲が大胆に削減されてしまっているので、これはとても嬉しかった。
日替わりレア曲は、これだけには留まらなかった。なんと、セカンド『The Bends』からの『Bullet Proof...I Wish I Was』まで!うほー。これだからレディヘの公演はやめられないし、来日したら最低でも2回は行かなくてはと思わされる。近年では大物アーティストでもセットリストを固定にしないのは珍しくはないが、やはり多くのアーティストはセットリストを定型にしていて、日替わりは専用のコーナーになっているのが大半だと思う。曲順を組み替え更にレア曲を注入するという手法は、観る側にとっては非常にありがたいが、演奏する側にとっては非常に手間のかかることのはずだ。だからこそ、後者をやってくれるアーティストは尊敬するし、プリンスやエルヴィス・コステロがそうであるように、レディヘも同様のアプローチを取ってくれていることが嬉しくてたまらない。
『Bodysnatchers』で本編を締めくくり、アンコールは『You And Whose Army?』で幕開けに。ピアノを弾きながら、目の前にセットされているCCDカメラに自分の顔をどアップになるようさらし、それが後方のスクリーンにモノクロで大写しとなって、そのさまが茶目っけがあって観ている方は和まされる。『Amnesiac』の曲ということで、初めて観たのは2001年の来日公演だが、場内を包む温かい雰囲気は同じで、そのときのことをふと思い出した。というか、あれからもう7年も経ってしまっていることの方に逆にびっくりした。
曲は『Videotape』を経て『Paranoid Android』となり、心なしか5日に聴いたときよりも表現力が増し、ドラマ性を帯びているように思えた。更にはこれも実は珍しい『Dollars & Cents』を経て、『Everything In Its Right Place』にて1回目のアンコールが終了。やはり電飾に歌詞が流れ、演奏終了後は「EVERYTHING」の文字が垂れ流しになったのだが、これらの文字は右から左に向かって流れていくため、ステージ向かって右にいる人はその文字が読み取れるが、向かって左側にいる人にとってはさっぱり訳がわからないということが、それぞれのポジションで2日続けて観たことでわかったのだった。