Fuji Rock Returns Vol.2 Garbage / Sonic Youth / Elvis Costello







グッズを買ってシートに戻るすれ違い様、既に靴やGパンのすそが泥どろになった連中とすれ違う。大丈夫なのか、この人たちは。最後まで持たないぞ、と余計な心配をする。気温がだんだんと高くなり、蒸し蒸しして発汗がすごい。ただせさえ汗かきなのに、私は。適度に水分を取る。そしてガービッジ登場。友人と前に向かう。AブロックとBブロックの間の通路に身を落ち着ける。


うっ。ううううっっ。何だ。何だこの重厚なバスドラのビートは。どうしてこんなに強力なんだ。私のフジロック98は、ガービッジに脳天をブチのめされることでスタートした。とにかく強力だ。私はガービッジは予習はしなかった。春先にプロモで来日してて、そのときのインタビューやビデオクリップを見ることだけで済ませて、それで一応認識はしていたつもりだったのに。演奏がしっかりしていて、観客のテンションも上がっているようだ。


そして、なんと言ってもシャーリー・マンソンのvoがバックに少しも負けていない。なんか写真だとキツい顔だったが、本物はもっと穏やかで、それでいて奥底に力強い芯の強さを感じる。パフォーマーとしても申し分ない。そうか、dsのブッチ・ヴィグはもともとプロデューサーでニルヴァーナやスマパンの連中を向こうに回して取り仕切ってた人なのだ。小室哲哉にしろ、小林武史にしろ、プロデューサーをやっていながら突き詰めていったあげくの必然としてglobeやマイラバへとたどり着いた。そういうことか。しかし、こんな凄いバンドをこんな早い時間に演ってしまっていいのか。それともただ単に私が無知なだけだったのか。『Push It』の間奏のフレーズが今でも耳に焼き付いている。

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ガービッジにすっかりのされた後、シートへは戻らずにホワイトステージに向かう。エヴァークリアの参加が中止になり、ずっと空きになっていたこの時間帯のホワイトステージだが、直前になってWeb上で、ハイスタンダードだの、スカパラだのとさまざまな情報が飛び交ってきた。で、オフィシャルのプログラムを見るとこれが「TBA」とある。う~ん、わけがわからん。で、直に確かめに行く。


ホワイトステージは下が砂利で、これも去年を思い出す。待てよ、ステージセットにしてもまるまる去年の使いまわしか、ひょっとして。グリーンステージのあの意味不明な絵(両サイドにロボットと蛇)もまんまだし。果たして、ステージ上にいたのは紫のスーツを着た大人数の日本人だった。東京スカパラダイスオーケストラだ。結構ハードだ。私の友達の女のコにスカパラ狂がいて、いろいろ話は聞いていたが、よもやフジロックでそれを確かめることになるとは思わなかった。





スカパラは2曲ほどにして、シートに戻る。ステージ間は結構近く、数分で行き来できる。去年は雨と泥のせいで移動にも一苦労、というか、とてもじゃないが何度も行き来する気にはならなかったが。そしてソニック・ユースだ。今度はAブロックの後ろの方辺りまで行ってみる。いきなりノイジーなインストが延々と始まる。いやあ、貫禄だ。俺たちをこんなに早く出しやがって、という怒りなのか。右にサーストン・ムーア、左にリー・ラナルド、そして中央にキム・ゴードン。紫のワンピースにサングラスのキム。カッコいいっ。そして新作のシングル『Sunday』へ。


最新作『a thousand leaves』は、バンドの野心を感じさせる、聴いててどきどきするような、それでいてポップでもある、という今までの作品からいいとこ取りしたような音で、とても気に入っている。大作『Wild Flower Soul』もいい。グリーンステージいっぱいにサーストンのgが響き渡る。意外だったのはリー・ラナルドのパフォーマンスで、プレイは結構ハードにキメているし、MCまでやってしまった。キムは曲によってbとgを持ち替える。そうだよ、前作『The Washing Machine』でキムはgを弾く楽しさを覚え、なんとトリプルgでの演奏も出てきたっていうのに、2年半前のチッタに足を運んだ私はそんなこと何も気づかずにただぼけっと観ていただけなのだ。そして、最後にはお得意の一体いつ終わるのかっていう3人3様のやりたい放題のパフォーマンス。キムは足で弾き、サーストンはスピーカーやらあちこちに弦をこすりつけてノイズを出し、最後にはキムの後頭部に弦をあてがって弾く。無茶するなあ。でも、よかったあ。当たり前か。この人たちのライヴにハズレなどあるわけがない。





次は忌野清志郎だが、休憩タイムにしてシートに戻る。ここを逃したらもう休めないからだ。ずいぶん暑苦しい格好している。2曲目の『雨上がりの夜空に』で私たちのいる後ろの方でも歓声が沸く。フルートも披露してた。まるでジェスロ・タルだ(笑)。リトル・スクリーミング・レビューはボブ・ディランが70年代に行っていたローリング・サンダー・レビューにインスパイアされて、と以前インタビューで答えていたが、清志郎の旅路はまだまだ続くのだろうか。フジロックへの参加もその一環だろう。





Smashの日高社長が、今回特に聴いて欲しいアーティストとしてエルヴィス・コステロの名前を挙げていた。何もハードな音だけがロックじゃないんだ。フェスじゃないんだ。アコースティックギター1本でも、コステロが演ればそれ以上の感動を観客に与えることができるんだ、とかそんなようなことを言ってた気がする。そしてご当人が盟友スティーヴ・ナイーヴを引き連れて登場。髪が短く、サングラスをしている。ボノに似てる、と思った。


そしていきなりの『Accidents Will Happen』。いやあ、やってくれます。モッシュがないので、これはそうとう近くまで行けるとふんで前5列目くらいまで接近する。以後、代表曲を立て続けに演奏。『Red Shoes』『Peace Love & Understanding』、gをエレキに持ち替えての『Alison』!あとは『Veronica』も。意外なところではデビュー曲の『Less Than Zero』なんてのも演ってくれた。凄いよ、もう。グリーンステージを一気にねじ伏せた感じだ。スティーヴのピアノも美しい。心に染みる。惜しみない拍手が起こる。しかし、この気合いの入りようは何なのだろう。まるでオヤジをナメるなよ、小僧ども、とでも言っているみたいだ。ひと通り演奏を終えて引っ込むがなんとアンコールを求める拍手が起こる。トリならまだしも、このポジションでアンコールあるのかよ、と思ってたら出て来た!そして必殺の『Pump It Up』へ。なんかもう、鬼気迫るようなパフォーマンスだった。

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(98.8.3.)
















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