Fuji Rock Festival'04 Day 2-Vol.2 Franz Ferdinand/Mo'some Tonebender/Cortney Love







フジロックの2日目というのは、3日間開催の中日であり、また土曜日でもあることから、最も動員が伸びて場内が大混雑する日でもある。その状況は、3日通し券のみになった今年も変わらなかった。そして最もキャパシティの大きいグリーンステージには、自然と最も多くの人が集まることになる。


それはわかっているのだが、まさかフランツ・フェルディナンドのときにその状態になるとは、予想できなかった。UKの新人バンドで、もちろん今回が初来日。事前には凝ったPVでの露出はあったが、場内がぎっしりになってしまうほど集客されてしまうとは。これは上記のような日程や物理的条件だけでなく、彼らに対する期待感が並々ならぬものであることの、裏返しに違いない。


そして彼らは、そうした状況に気後れして自滅するどころか、真正面から受け止めた上に最大限のプレイで応えてくれた。2本のギターの絡み合いがベースとなったモノトーンチックなリフがベースとなり、ところどころにメリハリがあって、そして爆発力も備えている。新人らしき初々しさと、新人らしからぬ堂々たるたたずまいが混在し、それがこの場においては全ていい方に作用した気がする。シングルカットもされている彼らの顔『Take Me Out』で場内大合唱になったところは、この年のフジを象徴する瞬間になったのではないか。そして付け加えるならば、彼らは2004年の新人バンドの中でも、頭ひとつ抜け出た存在にのし上がった感がある。





この後は再びマーキーに向かい、モーサム・トーンベンダーを。当初この時間帯はUAを観るつもりでいたのだが、彼女が出演するのは最も奥に位置するオレンジコート。移動が手間だなと感じたのと、彼女の人気と実力とを以ってすれば、オレンジは簡単に満員になって入場規制状態になるのではという心配があったため、結局断念した。彼女も今やフジロックの常連になりつつあるのだが、個人的には縁が薄い。


さてそのモーサムだが、名前だけを知っていて音は全く聴いたことがなく、はてどんな連中なのだろうと思いながらライヴに臨む。メンバーはたった3人なのだが、のっけから耳をふさぎたくなるような爆音が炸裂。ギターノイズとドラムビートとヴォーカルの金切り声とが交錯し、場内の温度を上げまくっている。もっとさわやかな音を出すのかと勝手に想像していたので、まるで違うたたずまいにびっくりしたのと同時に、この場を借りてバンドのことを知ることができてよかったという、満たされた気持ちになった。





フジロックはアーティストも観客のひとりとなる場であり、特にオアシスやレッドマーキーは出没率が高い。モーサムのライヴを後半で切り上げてマーキーを出ると、長髪のアーティストっぽい人がいた。首から関係者用のパスをぶら提げていて、見ると「LOSALIOS」とある。つまり、この人は中村達也だった。そして次に気になったのは、中村と向かい合って話す女性。彼女もやはりパスを提げていて、見て見ると「東京事変」とある。えっと思い、もう一度顔を見たら・・・、椎名林檎だった!帽子を深くかぶっているが、間違いなく彼女だ。ピンクのタンクトップ姿というラフないでたち。体つきはほっそりとしている。一瞬、握手してもらおうかどうか考えるが、今はもう彼女にとってはプライベートな時間になっているはずだし、その邪魔をしてはいけないのではという気持ちが働いて、結局見ているだけにした。ファン心理とは微妙なものだ(笑)。





今年のフジはモリッシーのドタキャンはあったが、この人に勝るとも劣らない問題児がもうひとりいる。5年前のフジをドタキャンしているという前科がある、コートニー・ラヴだ。しかも裁判沙汰でばたばたしているし、体調もよくないみたいだし、数ヶ月間ライヴやってないし、こんな逆風だらけで果たして参加できるのか。いやそれ以前に、アメリカを出国できるのかという不安がよぎる(初日の朝に、ナビゲーターから「飛行機には乗った」という情報提供はあった)。


いちおうステージ上には機材がちゃんとセッティングされているが、始まる気配は一向になく、そうした状態で30分近くが過ぎ去った。すると、バンドメンバーが先に登場してスタンバり、最後にコートニー登場。出てきたという感激よりも、なんだかほっとしてしまった。がしかし、はっきり言って彼女はぼろぼろだった。まず声ががさがさで、そして高音が出ない。かなり無理をして歌っていて、観ている方の心が締め付けられそうになる。また風が強く、楽譜立てから楽譜が飛びそうになるのを必死で押さえては、ひとりで癇癪を起こしている。他のキャンセルしてでもフジには来ると言っていて、その結果がこれなのか。彼女はこんなパフォーマンスをするために、無理をして来たのだろうか。


(2005.2.1.)
















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