Fuji Rock Awakening Vol.3 Foo Fighters







強くなったり弱くなったりはするが、相変わらず雨は止まない。まあ、1回目のときは台風直撃で朝5時前から1日中暴風雨で、とても今回の比ではないのだけれど。


さて、その第1回以来のフジロック参戦となるフー・ファイターズ。ワタシは密かにホワイトステージのトリを予想していたのだが、やはりキャパはグリーンクラスという判断だったのだろうか。


メンバーがステージ上に姿を見せる。と、デイヴ・グロールが凄い気合だ。ウオーッという咆哮。そしていきなりの『Monkey Wrench』。更には最新作のシングルでもある『Learn To Fly』へとつなぐ。更にはギターを持ったままでいきなりステージを降り、向かって右端の方からモッシュピットの前を走り、最前に陣取るオーディエンスとタッチを交わす。そしてそのまま左端の方まで走り切ってしまい、また戻ってくる。どうしたんだデイヴ!


このデイヴのアクション。いきなりの代表曲畳みかけ攻撃。『I'll Stick Around』ですら中盤であっさり披露されてしまう。そして何度も繰り返される咆哮。ワタシは95年の初来日以来、フー・ファイターズの来日公演は欠かさず観ているが、こんなにも気合いのみなぎったデイヴを見るのは初めてのことだ。


初来日の頃は、フー・ファイターズをスタートさせたことにカートの死がかぶせて語られることが多く、更には元ニルヴァーナというキャリアが重くのしかかり、そこから逃れようと突っ走るデイヴがいた。フジロック'97、そしてその翌年の単独来日では、『The Colour And The Shape』を発表してバンド活動が一過性のものではないことを証明し、更なる前進と上昇を示してみせた。そして今回。正直、ワタシは昨年出た『There's Nothing To Lose』には円熟と安定感を見い出す反面、物足りなさも感じていた。もはや沸点を通り越してしまったのか。スローダウンしてしまったのかデイヴ、と。


しかし、目の前にいるデイヴは熱かった。激しかった。恐らくは、降りしきる雨なんかに負けんじゃねーぞ!というメッセージをワタシたちに送りたかったのではないか。藤田和之がPRIDE GPに出場して"霊長類ヒト科最強"マーク・ケアーを倒し、「道はどんなに険しくても、笑って行こうぜ♪」と言い放った姿とダブる。'97のときはあれ狂う台風でオーディエンスには半ばヤケクソな部分があったが(笑)、今回は違った。バンドがステージから放つエネルギーをもらい、そして一緒に熱くなったのだ。

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次のケミカルまでの空き時間を利用し、レッドマーキーまで行ってみる。昨年はニューバンドステージがあった敷地に大きなシルバーのテントが張り巡らされ、中は縦長の構造。入り口にはモニターも設置されていて、前方まで行かなくともライヴの様子は見ることができる。


私が行ったときは、この日日中のトリを飾るグレイプバインがちょうどライヴ中だった。観たのは1曲だけだったが、ホワイトで演っても申し分ないほどの熱気を帯びているように思えた。しかしライヴを楽しむ人も多いが、雨をしのぐために中に入って死んだように眠っている人も多かった。あらら。




(2000.8.11.)
















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