名探偵コナン 漆黒の追跡者（2009年）

広域連続殺人事件が発生し、警視庁には各県警の刑事が集合。江戸川コナンは、捜査本部内に黒の組織のスパイがいることに感づく。埼玉県警の女性刑事荻野は、変装した黒の組織のベルモットだった。組織が事件を追っているのは、被害者の中に工作員がいて、犯人が持ち去ったメモリーカードを日本警察よりも早く取り返すためだった。

警察に「犯人に心当たりがある」と通報してきた人物が、7人目の犠牲者となってしまう。しかし、死に際に言ったことばが「京都」の可能性があることから、コナンは服部平次に情報提供を求める。京都のホテルが火事になり、7人乗りエレベーターから追い出された本上なな子が死亡。彼女の恋人の水谷浩介が、復讐のためエレベーターに乗っていた人物を殺害しているという線が浮かび上がる。

『名探偵コナン』の劇場版13作目。中盤までは日本警察およびコナンによる事件捜査がメインだが、後半は黒の組織とコナンの対決にシフトしていく。ベルモットは警視庁への潜入をやめていたが、松本警視に変装した組織のアイリッシュがコナンの前に立ちはだかる。クライマックスの舞台は東都タワーで、ジンやウォッカ、キャンティ、コルンらが乗った戦闘ヘリに、コナンは追い詰められる。

ゲスト声優は、犯人に仕立て上げられていた水谷で、DAIGOだった。いかにも芸能人が声優やりました風で、技術的に未熟なのは明らか。こういうキャスティングはやめてほしいという、典型的な出来だった。容疑者のひとりの恋人のホステス役が、水樹奈々だったのは意外。主役クラスの人なのに、なぜ端役だったのだろう。また、ベルモットが変装したときの荻野刑事は、鶴ひろみだった。

アイリッシュとの対決では毛利蘭が一時的に加勢したものの、黒の組織との対決は実質的にコナンひとりだった。また、アイリッシュは正体が工藤新一であることを掴んでいて、コナンは窮地に陥る。結局はジンの意志でキャンティがメモリーカードごとアイリッシュを撃ち抜き、組織にコナンの正体はバレずに済んでいる。また、組織内でも権力争いがあって、一枚岩ではないことが伺える。