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トーキング・ヘッズ(Talking Heads)『Stop Making Sense(DVD)』

公開日: : 最終更新日:2021/06/02 Talking Heads/David Byrne , ,

トーキング・ヘッズ(Talking Heads)『Stop Making Sense(DVD)』

の、という枠を超えてロックDVDの名盤となっている『Stop Making Sense』を観た。

まずはがひとりだけで登場し、ラジカセを足元に置いてアコースティックギター1本だけで『Psycho Killer』を歌う。続いて1曲ごとにメンバーがひとりずつ加わり、また後方ではスタッフがステージセットを組み立てる。やがてセットが完成し、演奏もフルメンバーに。しかし、序盤はまるでライヴ感のない、淡々とした雰囲気で進行する。曲が進むにつれ、バーンは時折体をくねくねさせる妙なダンスを踊るようになり、またステージをぐるっと走り回ったりもする。

やがてバーンはステージを後にし、トム・トム・クラブでの演奏が1曲。その後バーンが生還するのだが、ここで「ビッグ・スーツ」姿になる。体格に比べて明らかにだぶだぶで、ウエスト部分が異様に太い。そして、まるで糸で操られているかのような機械的なダンスを踊るバーン。さすがに、ここまで来ると演奏はかなりの熱を帯びているのだが、それでもこのステージ全体を人形劇に見立てたかのような、冷たい視点というのが感じられた。

ボーナス映像は、まずは3曲の演奏シーンが追加。それからバーンのインタビューがあるのだが、インタビュアーも実はバーン自身。女装していたり学者風だったりと、なぜか変なコスプレばかりしていて、セルフパロディに徹している。また、日本と海外それぞれの予告編も収められている。

ニューヨークパンクの一角としてスタートしたバンドだが、音楽的には徐々に第三世界に接近。『Remain In Light』の頃には、アフリカンなサウンドとロックの融合が完成している。ツアーには黒人メンバーも動員していて、人種や性別を混合させた編成はスライ&ファミリー・ストーンを彷彿とさせ、そしてよりも少し早い。時期的にはアルバム『Speaking In Tongues』のツアーに該当するのだが、果たして実際のライヴを収録したのだろうか。それとも、映像作品として残すためのライヴをしたのだろうか(後者の気がする)。

トーキング・ヘッズは、ワタシがついにライヴを観ることが叶わなかったバンドのひとつだ。ロックの殿堂入り授賞式で一時的に再結成はしたが、現在メンバーはそれぞれに活動していて、今後観られることは残念ながら望めない。

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