*

バリー・リンドン(1975年)

バリー・リンドン(1975年)

18世紀半ば。アイルランド人レドモンド・バリーは、イギリス軍に入隊して戦争に参加。やがて同盟国プロイセンの兵となりそこで功績をあげると、ギャンのシュバリエのスパイの任につく。しかし同郷のシュバリエに取り入り、二重スパイとなってプロイセンを脱出する。

カジノに出入りしていたチャールズ・リンドン卿の死後、未亡人のレディ・リンドンとバリーは結婚し、バリー・リンドンを名乗る。レディ・リンドンとの間に息子ブライアンを授かるが、リンドン卿の息子ブリンドンとはうまくいかない。バリーは爵位を得るために浪費を続け、やがてブリンドンと決裂してしまう。

レドモンド・バリー/バリー・リンドンを演じたのは、ライアン・オニール。監督はで、この人の監督作としては唯一の時代ものになる。原作の小説があるとのことだが、キューブリックは脚本にて大幅に圧縮。それでも、3時間オーバーの大作だ。

数奇な運命をたどったバリーの半生を描きたかったのだろうが、ストーリー上でいくつかの疑問点が残る。バリーの師匠的存在で結婚式にも参列していたシュバリエが、その後全く出てこなくなった。そしてそもそも、レディ・リンドンはなぜバリーに惹かれたのか。チャールズ・リンドン卿が病弱で車椅子生活だったとはいえ、だ。

本作はアカデミー美術賞を受賞するなど評価は高かったが、興行的には苦戦したそうだ。個人的にも、キューブリックが監督した作品ということでチョイスはしたが、コレを劇場で観たいかと言われれば、なかなかイエスとは答えにくい。

軍隊の場面では大勢の兵士を動員し、また後半で贅の限りを尽くす場面ではキャラクターに華やかな衣装をまとわせ、と、完璧主義のキューブリックらしく、かなりお金と手間がかかっている。映像の美しさは、リマスター処理がされているからかな。

関連記事

アイズ・ワイド・シャット(1999年)

ニュー・ヨークの開業医ビルと夫人のアリスは、倦怠期を迎えていた。知人のクリスマスパーティーに

記事を読む

時計じかけのオレンジ 完全版(小説)

スタンリー・キューブリック監督による劇場公開作品が有名だが、実は原作の小説があって、読んでみ

記事を読む

スタンリー・キューブリック『シャイニング』を分析した『ROOM237』

スタンリー・キューブリックは、自身が監督した作品の中にさまざまな仕掛けやメッセージを仕込んで

記事を読む

突撃(1957年)

第一次大戦中の、とあるフランス軍の戦線。ダックス大佐の隊はドイツ軍への無謀な突撃を命じられる

記事を読む

『スタンリー・キューブリック(シリーズ 映画の巨人たち)』を読んだ

映画監督スタンリー・キューブリックの、人物像や作品世界について書かれた書籍を読んだ。

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑