ユニコーン 2009.5.2:さいたまスーパーアリーナ=

87年から93年まで活動していたユニコーンが、今年16年ぶりに再結成を果たし、全国ツアーを敢行。チケット争奪は熾烈を極めたが、ラッキーなことにさいたま公演のチケットを入手することができた。座席は500レベルという天井に近いバルコニー席で、ステージまではかなりの距離があるのだが、アリーナ席を含め場内ほぼ全体が見渡せるポジションでもあって、コレはコレでアリなのかなという気になった。場内に流れる開演前のBGMはユニコーンの曲のリミックスで、ステージ上部にはファンが投稿したであろうメッセージが流されていた。





 定刻から5分ほど経った頃に客電が落ち、大きなどよめきが沸く中、幕越しにメンバーのシルエットが映る。すると、早くも演奏と奥田民生のヴォーカルが聴こえてきて、曲は今年リリースした新譜『シャンブル』からの『ひまわり』だ。やがて幕が落ち、ステージが明らかに。サポートメンバーはなく、ユニコーンの5人だけで演奏している。『スカイハイ』を経て『おかしな二人』になったところで、ステージ両サイド及びバックドロップのスクリーンがようやく稼働し、500レベルの私の席からでも様子がわかるようになった。


 ここで早くもMCに。メンバーがみなサンバイザーを被りポロシャツにパンツ、という格好で、もしやとは思ったが「石川遼です♪」とのことだ。続いてはベースのEBIがヴォーカルを取る『ボルボレロ』や、ギターの手島がヴォーカルの『オッサンマーチ』、ドラムの川西がヴォーカルの『キミトデカケタ』と、曲毎にヴォーカルや演奏パートが目まぐるしく変化。民生がベースを弾いたりドラムを叩いたり、阿部Bも本来のキーボードではなくギターで参加したりと、変幻自在ぶりを発揮。もともとユニコーンはメンバー全員が曲を書き歌えるという、奇跡のような集団なのだが、その力量が前半で早くも発揮された格好だ。 


 ステージ前方は左右に花道が伸びていて、特に民生が歌いながらゆっくりと花道を歩き、左右のオーディエンスに向かって行っては手を振っていた。サイドのスクリーンは主にメンバーを捉え、バックドロップのスクリーンは抽象映像や歌詞などを流していた。カメラはあちこちに設置されているようで、川西や阿部Bの真横にもあるらしく、時折2人はどアップになり、カメラ目線で歌っていた。民生の立ち位置はよく見るとお立ち台風に若干高くなっていて、リードヴォーカルを取る人は、そのときのお立ち台に上がっていた。





 ユニコーンが活動していたのは7年間で、そして今年16年ぶりに再結成し新譜をリリース。てっきりキャリアを総括するセットリストになるものとばかり思っていたのだが、軸になっていたのはディープ・パープル『Burn』のジャケットをパロっている新譜『シャンブル』からだった。当時の曲と『シャンブル』からの曲とで、温度差のようなもの、つまりは当時の曲では熱が上がり、『シャンブル』は今ひとつ、的な状態になる恐れもあったと思われるが、そうした違和感を感じさせないバンド側の演奏、及びオーディエンスの成熟度の高さに驚かされた。


 個人的には、当時の曲はシングルカットされた曲くらいしか認識していないのだが、それでもやはり『デーゲーム』が披露されたときには背筋が伸びる思いがした。そしてライヴ中盤のハイライトになり、また個人的にも最大の収穫だったのが、『PTA ~光のネットワーク~』だ。この日のライヴに臨むべく、全てのアルバムを入手して聴いていたのだが、その中に『おどる亀ヤプシ』というミニアルバムがあって、そこに収録されているのが『光のネットワーク』だった。デジタル音を駆使したダンサブルな曲調、そして何よりこの曲名は、恐らくはTMネットワークをパロディ化したのだろう。


 リードヴォーカルは阿部Bで、阿部Bは客席に背を向ける格好でマイクに向かって歌い、そしてなぜかポニョのぬいぐるみを左手に持って動かしていた。一部で民生とのツインヴォーカルになったが、5人のヴォーカルをそれぞれ聴いてみて、私にとっては阿部Bと民生のツイン状態が最も映えているように思えた。間奏になると、いつのまにか持ち場を離れていたEBIと川西が衣装替えをしていてラップを刻み、どさくさにエグザイルのダンスまでやっていて、おかしくって仕方がなかった。





 『シャンブル』からシングルカットされた、言わば顔的な曲の『Wao!』でギアチェンジ。この曲も阿部Bがリードヴォーカルだった。ここから新譜の曲が続き、EBIがヴォーカルの『Blacktiger』やまたも民生と阿部Bのツインとなった『R&R Is No Dead』などが繰り広げられた。そして、手島の「昔に戻ろうぜ~♪」というMCの後に、弾けた、鋭い、そして聴き覚えのあるリフに、場内が沸き立った。恐らくバンドの代表曲であろう、『大迷惑』だ。 


 当時は今以上に洋楽に偏って聴いていた私だが、それでも『大迷惑』のシングルは買って聴いていて、今でも持っている。オーケストラと共演している風のPVもインパクトがあって、ジャンル分け不能の得体の知れないバンドが登場した、というインパクトを感じた記憶がある。それから20年以上が経ったが、ついにナマ演奏を体感することができた。原曲ではストリングスを使っている音のところは阿部Bのキーボードが担っていて、違和感は感じなかった。場内の加熱ぶりも最高潮に達し、そのままの勢いで『ヒゲとボイン』を畳みかけ、『シャンブル』からの『Hello』が本編ラストとなった。





 さてアンコールだが、メンバーは全員長髪のヅラを被り、革ジャン姿になっていた。コレは当時の手島のコスプレらしい。阿部Bが長い長いMCをしつつ、『人生は上々だ』を歌い上げる。そして、自分たちが所属していたレコード会社のことを話し始める阿部B。当時は「CSA」だったが、現在は「SMA」に。そこで、「SMA」の住所と電話番号がスクリーンに掲示され、コレをヘヴィメタ調に阿部Bはシャウト。そしてまた『人生は上々だ』に戻って締めくくられた。


 すぐさまセカンドアンコールに。メンバーは再び着替えていて、ツアーTシャツ姿になっていた。ヅラを取ったメンバーは本来の髪型になっていて、最初の石川遼スタイルのときも実はヅラを被っていたのだと、このときにわかった。オーラスは『すばらしい日々』で、3時間近くに渡ったライヴは幕を閉じた。








 解散後メンバーはそれぞれに活動し活躍しているので、この再結成が一時的なものになるのか継続されるのかはわからない。願わくば、継続とは言わないまでもソロとユニコーンとを並行する形で活動がされないものだろうか。今回のツアーは5月末までだが、広島のセットストックや茨城のロック・イン・ジャパンなど、いくつかの夏フェス出演も発表されている。個人的には是非フジロックに出て欲しかったが、日程的にはセットストックと被ってしまうので、今年の出演は恐らく望めない。ただ断続的にユニコーンとしての活動がされていれば、いつかはフジロックへの出演も叶うだろうし、フジのステージに立つべきバンドだと思うからだ。




(2009.5.10.)
















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