6枚のシングル両面を中心に出来上がった編集盤で、オリジナルアルバムに劣らない重みを持つ(スミス時代の『Hatful Of Hollow』を思い起こさせる)。シングルヒットした『Suedehead』は、ソロキャリアの代表作のひとつに。ジョニー･マー以外のメンバーが参加して作られた曲も多い。プロデューサーとして名を連ねるステファン･ストリートは、後期スミスを支えた裏方のひとりだ。

　代表曲が網羅されておらず、ベストのようでベストではない変則的な編集盤。とはいえ、新曲『Boxers』や『Moonriver』のカヴァーなども収録していて、また時期としてもキャリアのピークを迎えつつあった頃だと思うので、作品としての充実度及び重要度は高い。この直後にRCAに移籍することから、EMIとの契約を満了するために作られた作品のようにも思われる。

　とっくに契約が切れたはずのEMIから、その2年後に突如リリースされたベスト盤。シングル中心の構成で、現在でもここでしか聴けない曲は多い。『Interlude』はスージー･スー(スージー＆ザ･バンジーズ)とのデュエットで、モリッシーは一歩引いたスタンスでスージーを立てる側に回っている。『That's Entertainment』は、ザ･ジャムのカヴァーだ。キャリアをほぼ総括しており、入門盤としてもお手頃。

　95年のUKツアー2箇所の公演をまとめて作ったライヴビデオで、日本のファンにとっては、95年暮れの来日公演を思い起こさせる内容になっている。ステージバックには『World Of Morrissey』のジャケ写が浮かび、その前で充実したライヴをしてみせるモリッシー。オーディエンスがステージ上のモリッシーに抱きつくという、初めての人には驚きの、ファンにとっては当たり前のシーンも満載。ここでは未収録だが、このときのライヴではスミスの『London』『Shoplifters 〜』も演奏していた。