邦題『鬱』。解散していたと思われていたピンク･フロイドが、デイヴ･ギルモアを中心にして突如復活。ロジャーはバンド名使用差し止めを求めて裁判に持ち込んでいたが、結局それはかなわなかった。リックとニックは演奏できる状態になく、ギルモアがほとんど自分でこなし、不足分はフィル･マンザネラやトニー･レヴィンなどのゲストミュージシャンで補った。なのでフロイドの名を借りた、実質的にギルモアのソロアルバムという見方もできると思う。

　邦題『光〜パーフェクトライヴ！』。『鬱』のツアーを記録したライヴアルバム。Disc 1は『鬱』からの曲を中心とし、Disc 2はベストヒットという構成に。この年3月、実に16年ぶりとなる来日公演も実現している。バンドを再生させ延命させることに成功したギルモアの才能を評価すべきか、フロイドの名前と形だけを受け継いだことを批判すべきか、見方は分かれるところだ。

　邦題『対』。90's唯一のオリジナルアルバムは、フロイドとしか言いようのないサウンドになってはいるが、それ以上でもそれ以下でもない。開き直って楽しむか、それとも頭を抱えて嘆き悲しむか、聴く方にも選択を迫られるところで、ここまで来ると、バンドが延命していること自体を喜んで受け入れるべきなのかもしれない。ジャケットはアナログやCDなど、媒体によって微妙に異なっている。

　『対』のツアー音源を収録した2枚組ライヴアルバム。各地の公演から音源を選りすぐって編集された。Disc 1は『鬱』『対』と最近2作からを中心とし、Disc 2では『狂気』完全再現を収録。なんとシド･バレット時代の『Astronomy Domine』も取り上げられている。CDジャケットは、初回限定で電球がちかちか光る(すなわちP.U.L.S.E.)特殊仕様になっていた。