キャリアを総括したベスト盤で、6枚の作品及びシングルのみのリリース曲からほぼ満遍なくセレクト。熱心なファンはもちろん、初心者にもお薦めできる1枚だ。『Theme From M.A.S.H (Suicide Is Painless)』は、これまでNMEのコンピレーションにのみ収められていた曲。日本盤ライナーノーツには、メンバー自らによる全曲コメントがあり、曲が書かれたときの状況や心情などがフォローされている。Disc 2はリミックス集で、外盤では限定だが、日本盤は永久に2枚組としてリリース。

　『Everything Must Go』のときのツアーでの、マンチェスターでのライヴを収めた作品。ステージでの演奏シーンがメインだが、楽屋でのメンバーの姿やリハーサル風景なども随所に盛り込まれていて興味深い。本国イギリスで「国民的バンド」として迎え入れられたマニックスと、彼らを取り巻くファンの熱狂ぶりをうかがい知ることができ、ドキュメンタリー風の仕上がりにもなっている。バンド内に起こったゴタゴタをふっきれたようでいて、だけど周囲の変化に対する居心地の悪さをほんの少しだけ残しているのも、彼ららしいと思う。