現在も行われているアムネスティーインターナショナルのベネフィットコンサートで、これは81年のライヴ。目玉はやはりクラプトンとジェフ･ベックの共演だ(CDにはあと1曲『Crossroards』も収録されている)。直立不動のクラプトンと、体をくねらせながらのベックという、両者のプレイも対照的。スティングとピート･タウンゼントは、このときはそれぞれポリスとザ･フーとして活動中だったが、現在のソロワークを予見させるシンプルな演奏を見せる。ラスト『I Shall Be Released』は全員での演奏で、スティングがリードvoを務めている。

　元フェイセズのロニー・レインが、自らもARMS(多発性脳脊髄硬化症)という難病に冒されていることから、同じ病で苦しむ人のためにとチャリティーコンサートを1983年の秋に開催。友人のアーティストたちに呼びかけ、豪華な顔ぶれがロイヤル・アルバート・ホールに揃った。注目はなんと言ってもエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジのヤードバーズ出身の3人のギタリストが集まったこと。他にも、現在はクラプトンのバンドメンバーとして活躍しているアンディ・フェアウェザー・ロウ、ルー・リードのバンドメンバーでもあったフェルナルド・ゾーンダース、ザ・フーのドラマーを務めたこともあるケニー・ジョーンズなどが脇を固めている。

画像が暗めなのが気にはなるが、豪華ラインナップによる名演はそうした不満を補って余りある。特にジェフ・ベックはオフィシャルな映像作品がほとんどないだけに非常に貴重だと言えるし、ジミー・ペイジとスティーヴ・ウィンウッドの両雄が並び立つのも壮観だ。極めつけは、ペイジによるインストの『Stairway To Heaven』、及びオールスターキャストでの『Layla』。実際の演奏シーンもさることながら、冒頭のリハーサルシーンにも思わず目が釘付けになってしまう。

　ロバート･プラントとジミー･ペイジの共演によるツェッペリンナンバーの演奏が実現したこの年のネブワース。クラプトンは長髪でピンクのスーツをまとい、ステージを強い風が吹く中で熱演を見せる。中盤はマーク･ノップラーが、後半はエルトン･ジョンがメインとなり、クラプトンはバックに回ってギター弾きに徹している。そして『Sunshine Of Your Love』で再び前面に立っての演奏。88年にはこのメンツで来日もしている。CDは現在廃盤だが、映像は2002年にコンサート全体がDVD化された(ここではWowowで放送された曲を掲載)。

　ボブ･ディランのキャリア30周年を記念して1992年10月にニューヨークで行われたコンサート。クラプトンはまずはソロで登場し、2曲を演奏。カメラはギター及び指さばきを何度もアップで抜く。『My Back Pages』はロジャー･マッギン、トム･ペティ、ニール･ヤングがリードvoを引き継いで歌い、間奏ではクラプトンのギターソロが唸る。続いてクラプトンが歌い、ディラン、ジョージ･ハリスンと続く。出演者全員が揃った『Knockin' On Heaven's Door』は、クラプトン自身シングルカットしたこともある曲。自分に大きな影響を与えたバンドとして、ザ･バンドの紹介も務めた。

　ローリング･ストーンズが68年12月にテレビ特番用に収録した映像／音なのだが(ビートルズの『Magical Mystery Tour』を意識か)、ラストに登場したストーンズの演奏の出来が今ひとつだったために(収録が長引いて客がダレたことも要因)、25年以上もおクラ入りとなっていた(同時にアルバムも復刻)。ロックとサーカスを融合させたショーというスタイルで、クラプトンはジョン･レノン、キース･リチャーズ、ジミヘンのミッチ･ミッチェルと組んだスーパーバンド「The Dirty Mac」として出演。

　96年11月のシェリル･クロウのライヴをビデオ化したもの。シェリルにとっては自らの名前を冠したセカンドアルバムに伴うツアーで、ギターにベースにアコーディオンといった楽器をとっかえひっかえ弾きながら歌う芸達者ぶりを見せる。クラプトンが登場するのはアンコールで、楽屋にたたずむ姿がまずは映される。ステージでは、キーボードを弾きながら『Ordinary Morning』を歌うシェリルの少し手前で、すぐにクラプトンとわかるギターの音色をガンガンに響かせる。ここまで奔放にプレイしているクラプトンは珍しい。

　1997年のモントルー・ジャズ・フェスティバルに、エリック・クラプトンが出演したときの映像。バンドはジョー・サンプル（ピアノ）、デヴィッド・サンボーン（サックス）、マーカス・ミラー（ベース）、と、ジャズ／フュージョンの大物ばかり（ドラムはクラプトンのバンドでもお馴染みのスティーヴ・ガッド）。多くの曲はインストで、メンバーひとりひとりがどこかでソロの見せ場を作っている。アコースティックの『Layla』を含むクラプトンの曲も演奏され、当然そのときは自らヴォーカルを取るのだが、基本はいちセッションマンとしてギタープレイに徹しているのが興味深い。

　エリック・クラプトンは、自身も経験していることからアルコールやドラッグ中毒者の治療施設「クロスロードセンター」を設立。コレはセンターへのチャリティを目的としたフェスティバルで、総勢50人に渡るギタリストが出演。その面々は、B.B.キング、ジミー・ヴォーン（故スティーヴィー・レイ・ヴォーンの兄）、ジェイムズ・テイラー、ジョー・ウォルシュ、ジョン・メイヤーなどだ。クラプトンは自身のバンドでも出演しているほか多くのアーティストと共演を果たし、八面六臂の活躍ぶり。このフェスはテキサスで行われたのだが、テキサスが地元のZZトップのときには、客の熱狂ぶりが尋常ではなかったのも印象的だ。

　2005年にイギリスはサリー州の野外ステージで収録されたライヴで、客がみな盛装しているのがまず目を引く。名義はなぜかクラプトン・ウィズ〜となっているが、実際はクラプトンはゲストアーティストのひとりに過ぎず、バンドを統制し進行を務めたのは、元プロコル・ハルムのゲイリー・ブルッカーだ。バンドはアンディ・フェアウェザー・ロウやマイク・ラザフォード（ジェネシス）ほか大所帯の編成。若いケイティは別として、ほとんどのゲストアーティストが懐メロ臭を漂わせている中、クラプトンだけが現役感ありありで、要所でステージを引き締めている印象を受けた。