ロキシー脱退後イーノが最初に始めた活動で、以後度々共演し、お互いいい関係にありながら刺激し合う仲になるロバート･フリップとのコラボレート作第1弾。フリップは当時はまだキング･クリムゾンとして活動中で(俗に言う"ヘヴィーメタル期")、クリムゾンではない音楽の探究の第一歩になる。音はフリップのgがやや勝っている感があるが、両者が繰り広げる静かなバトルは、聴く方にも緊張感を強いる。

　フリップとのコラボレート第2弾だが、こちらは前作とはうって変わって、イーノのkeyが炸裂した"らしい"作品。徐々にアンビエントの方向に向いていたイーノの趣向にフリップが沿う形になっているのだと思う。このときはキング･クリムゾンは解散しており、フリップの方も多彩なアーティストとのコラボレート活動を進めていた。わずか2ヶ月ではあるが、フリップ＆イーノでツアーも行ったのだそうだ。

　突如発表されたフリップ＆イーノのベスト盤。しかし単なる編集盤にはとどまらない。目玉は後半部で、幻と言われていた『Healthy Colours』の音源が遂に日の目を見ることとなった。レコーディングが80年前後ということで、イーノがトーキング･ヘッズのプロデュースに忙しくなり、止む無く制作を途中で断念したとのこと。そして音の方も、当時のヘッズに相通ずるアフリカ的な仕上がりになっている。