The Who Discography　Compilation Album

　当時レーベルとの関係が悪化して物別れになるが、契約消化の関係上アルバムを1枚リリースしなくてはならず、ジョン･エントウィッスルが未発表曲の中からセレクト。寄せ集めではあるが、しかし個々の曲の精度は高く、聴き応えがある。『I'm The Face』は、ハイ･ナンバーズ時代の曲。『Long Live Rock』は、『Quadrophenia』のアイディアの元になっている。ジャケットは、後にミッシェル･ガン･エレファントが『Chicken Zombies』のアナログ盤にて引用している。

　権利関係のもつれで、長らく日の目を見ることのなかった70年のワイト島フェスの音源が、96年に晴れてリリース。同名の映像作品もリリースされたが、今作の方が曲数も多く(恐らく演奏された全曲)、また曲順も演奏した通りに配置されている。シングルのカップリングだった『Heaven And Hell』で幕を開け、中盤で『Tommy』全曲を披露し、その世界観を構築。終盤は代表曲で畳み掛けている。なおフーにとっては、前年に引き続いての同フェス出演だった。

　貴重かつ優れた音源を輩出し続けている、英国の国営放送収録音源のフー版。65年から73年(つまりフーの絶頂期)までの中からセレクトされていて、スタジオライヴという乾いた雰囲気が漂う中での、フーの肉体性溢れるパフォーマンスのギャップが、聴いていて新鮮だ。オリンピックスの『Good Lovin'』、ジェームズ･ブラウンの『Just You And Me, Darling』、マーサ＆ヴァンデラスの『Dancing In The Street』といった、ここでしか聴けないカヴァーもある。

　自らが手がけた壮大なロック･オペラ。ライヴでの再現やロンドン･シンフォニー･オーケストラとの共演を経て、今度は映画化に。ロジャーが主人公トミーを演じたほか、エルトン･ジョンがピンボールの魔術師を、エリック･クラプトンが伝道師を、ティナ･ターナーがアシッド･クイーンを演じ、関連曲についてもヴォーカルを取っている。また当時フェイセズのロン･ウッドとケニー･ジョーンズ、更にはニッキー･ホプキンスも参加。曲順は、オリジナルから若干並べ替えられている。

　ロックオペラ第2弾の映画化だが、オリジナルに忠実というよりは、アイディアをより膨らませて当時の英国のモッズ文化を描いた(と思われる)作品になっていると思う。主人公のモッズ青年はフィル･ダニエルズが演じ、主人公があこがれる青年エースを、当時デビューしたばかりのスティングが演じている。サントラの今作は、オリジナル盤の曲はもとより、劇中流れていたロネッツやキングスメン、ジェームズ･ブラウンなどの曲も収録。『Joker James』は、オリジナル盤から漏れた曲だ。

　いくつか企画されているフーのトリビュート盤の中でも、参加アーティストの顔ぶれが最も豪華な作品。もろフォロワーのポール･ウェラーやパール･ジャム、自身のカヴァーアルバムで既にフーを取り上げていたボウイなど、ほとんどのアーティストが原曲に忠実にカヴァーしている。ステレオフォニックスのケリー･ジョーンズが参加しているラストの『Substitute』は、2000年のロイヤルアルバートホールでのライヴ音源。同曲は、CDエクストラとして映像も収録されている。