Lenny Kaye
=レニー・ケイ=






 音楽を聴いている人であれば、誰しも憧れるアーティストのひとりやふたりいると思う。私の場合、dzppと題してディラン、ツェッペリン、プリンス、パール・ジャムをその趣向の頂点として掲げているが、彼らは私にとっては眩しすぎる存在で、明らかに自分の目線よりも上のところに位置している。彼らとはある程度の距離感を保っていることで、彼らの音楽を聴き続けることができると思っている。


そんな私が目線まっすぐにし、真に憧れるアーティスト。自分はこんな人になりたいと思う人物が、レニー・ケイだ。音楽評論家の経歴を持つレニーはやがてパティ・スミス・グループに参加。ツアーでは彼女の少し後方に位置しながらギターを弾き、つかず離れずといった感じでまるで忠実な従者のように、あるいは時に保護者のように、いつも彼女を見つめ続けてきた。


パティがいったん音楽活動を停止したとき、レニーにとっても転機が訪れた。が、90'sに入り彼女が再び行うようになったポエトリーリーディングの場には馳せ参じたし、かけがえのない人の死に彼女が打ちひしがれていたときに彼女を支え、手を差し伸べたのもレニーだった。パティ96年の復活作『Gone Again』にはバンドメンバーとしてだけでなくプロデューサーとしても携わっている。97年の来日時、パティと同様レニーの姿をこの目で見ることができたのはこの上ない喜びだった。





『Nuggets』のプロデュースを務め、イギーポップのトリビュートアルバムでは自ら歌も披露。こうした才能を持ちながらも自らが前面に立つことはほとんどなく、今もパティのバックでギターを弾いている。決して派手さはなく目立ちもしないが、しかし異様にして独自の存在感を持つ男、レニー・ケイ。ある意味スーパースターであり続けること以上に困難な立ち位置を占めているこの人を私は尊敬し、自分もこのようにありたいと思っている。
















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