David Bowie Discography　Compilation Album

　73年7月のロンドン公演映像が映画化され、そのサントラ盤として、録音から実に10年を経てリリースされた(RCAレーベルとの契約消化のためでもあったようだ)。選曲はこの時点でのほぼベストと言え、ボウイの神がかったパフォーマンスは元より、ミック･ロンソンのギタープレイも随所で冴え渡っている。実際の公演では、アンコールにジェフ･ベックが飛び入りし、『The Jean Genie～Love Me Do』『Round And Round(チャック･ベリーのカヴァー)』を共演したそうだが、権利関係のもつれなのか、どうやら日の目を見ることはなさそうだ。

　72年10月サンタモニカ公演の音源で、94年に突如リリース。上記の『Ziggy』よりも約9ヶ月前であり『Aladdin Sane』リリース前ということから、選曲が微妙に異なっていて、『Ziggy』以前の曲が結構演奏されているのが興味深い。終盤のヴェルヴェット･アンダーグラウンドの曲も、ここでは『I'm Waiting For The Man』になっている。『My Death』は、フランスのシャンソン歌手であるジャック･ブレルのカヴァー。

　ライヴ音源を集めた編集もの。上記の2枚とダブっている曲もあるが、逆にここでしか聴けない貴重な音源も収録。後に93年の『Black Tie White Noise』で正式にカヴァーされるクリームの『I Feel Free』や、ボウイのオリジナルながら正規のアルバムには未収録の『Foot Stomping』(『Fame』の原型的位置づけの曲だ)といった辺りは、なかなか興味深い。

　貴重かつ優れた音源を世に放ち続けている、イギリス国営放送のボウイバージョン。68年から72年までのものを集約していて、選曲は決してベスト･オブになってはいないので初心者には敷居が高いが、初期ボウイのライヴのたたずまいが切々と伝わってくる。アーノルド･コーン名義の曲『Looking For A Friend』や、チャック･ベリーのカヴァーである『Almost Grown』など、貴重な曲も聴ける。Disc 3は初回盤のみに同梱された、2000年6月のライヴだ(映像はNHK-BS2でも放送された)。

　ロックとクラシックの融合という試みは過去にもあったが、ボウイの作品ではベルリン時代の2枚がセレクトされ、現代音楽家フィリップ･グラスの手によって、オーケストラバージョンで再構築された。『Low Symphony』は1曲がそれぞれ長尺となったが、『Warszawa』など原曲ほどのインパクトがなく、聴いていて物足りない。対して『Heroes Symphony』はコンパクトな仕上がりながらオーケストラならではのスケール感と壮大さに溢れている。後者の日本盤には、エイフェックス･ツインがリミックスを手がけた『Heroes』が、8㎝CDとして同梱されている。

　ボウイとタッグを組んだパートナーは数知れないが、その筆頭格はやはりミック･ロンソンだ。ジギー時代のボウイを支えたロンソンはその後ソロに転じるが、93年にガンで亡くなってしまう。今作は制作途中だったものを夫人が働きかけて完成させ、死後一周忌にリリースされた遺作だ。プリテンダーズのクリッシー･ハインドが『Trouble With Me』で、デフ･レパードのジョー･エリオットが3曲でヴォーカルを執り、ボウイはボブ･ディランのカヴァーである『Like A Rolling Stone』で参加。ラストの『All The Young Dudes』は92年のフレディ･マーキュリー追悼コンサートの音源だが、そのままロンソンの追悼にもなっていて涙を誘う。