オンタマLive エピソードⅣ 2008.4.22:JCBホール

テレビ朝日で月曜から金曜に渡って深夜に放送されている5分番組、オンタマ。ひと組のアーティストが一週間ぶっ通しで出演し、さまざまな質問に対して答えていくという、非常にシンプルな内容だ。そのオンタマが企画するイベントが今回のライヴで、以前にエピソードΙとΠが行われていると思われ、この前日にはエピソードⅢが開催。そしてこの日は、いっぺんに観られるのがかなり豪華と思われる3組がエントリーされていた。





開場~オープニング

会場は、オープンしてまだあまり日が経っていないJCBホール。1階アリーナのほか、2階から4階までバルコニー席があり、入場階は4階という構造になっていて、アリーナに行くにはひたすら階段を降りるという具合だった。ステージの向かって左にはDJブースがあって、安田大サーカスのクロちゃん似のDJがプレイしていた。定刻より少し前にアナウンスが入り(しかも、冠スポンサーであるau/KDDIにかなり偏った(笑))、その後ステージバックドロップのモニターに最初に出演するアーティストの名が浮かび上がった。



Doping Panda

個人的に、フェスやイベントなどで断片的には観ていたが、しっかりと観るのは今回が初めて。ギター&ヴォーカル、ベース、ドラムのスリーピースバンドで、ヴォーカルが曲間にMCも頻繁に交え、オーディエンスを盛り上げようとする。バンドはちょうどツアー中だそうで、前々日には米子でライヴ、そしてこの次の日は京都に行くそうだ。


がしかし、序盤ははっきり言って空回り気味で、ヴォーカルのMCもなんだか痛々しい。3人のコンビネーションもしっくり来ているとは言い難く、ちぐはぐな状態だ。私が以前観たときにはそれ相応の力量を発揮していたように感じていたので、あれれ?という感じ。中盤以降になんとか持ち直し、ギターロックにダンスの要素が注入され、アリーナはダンスパーティー状態に。ちゃっかりライトハンド奏法もやったりして。ギターを軸としリズム隊が脇を固めるというオーソドックスなスタイルだが、サンプリングをSEとして導入もしていて、ソリッドでエッジが効いた音にデジタルのテイストが付加されていた。



セットチェンジ~楽屋訪問

ステージ上では機材の入れ替えが淡々と行われ、DJブースには再びクロちゃん(こう書かせてもらう)が登場して曲をかけていたのだが、やがてステージ上のモニターが稼動。DJ/VJのシェリーがアーティストの楽屋を訪問して突撃インタビューを敢行し、その模様がモニターを通じてオーディエンスに伝えられた。


まずはライヴを終えたばかりのドーピング・パンダを訪ね、3人にそれぞれカードを引かせて「もし音楽と出会っていなかったら?」「今までで最高の出会いは?」といったお題に対して答えさせていた。その後は、トリであるブン・ブン・サテライツを訪問。質問カードは使い回しで、川島と中野は同じ質問に答えることに。他にもシェリーは楽屋では何をして過ごしているのかという質問をし、中野はYouTubeでドリフを観ていると答えていた。ドラマーの平井の姿は見えなかった。



ストレイテナー

観るのは去年のブリティッシュ・アンセムズ以来約1年ぶり。もともと精力的にツアーをしているバンドだが、去年は地上波のテレビ番組出演や幕張メッセでのワンマンライヴなど、恐らく彼らにとって活動のピークを迎えた年だったと思われる。バンドは約4か月のインターバルをとって、今月になり始動。この日は2回目のライヴだそうだ。


3人が姿を見せたとき、まずはその見た目の変貌ぶりが目についた。ホリエは髪が伸びて顔面が覆われ、もとから長髪だったナカヤマはすっきりとした印象。日向は対照的に短く刈り上げていて、体型は少し横に膨らんだかなあという印象だ。ライヴは『Today』で幕を開け、アリーナのノリものっけから上々。去年のブリティッシュで観たときも思ったのだが、日向のプレイにインパクトがあった。以前はZazen Boysとのかけ持ちだったのが、Zazenを脱退しテナーに専念するようになって既に1年。以前はホリエやナカヤマを立てて自らは脇に回っているところがあったのが、今の日向は2人に真っ向から勝負をかけていて、それによりテナーはクリームのようなライヴバトルバンドになっている。


選曲的には『Dear Deadman』『Lenear』『Immortal』からを中心としていて、『Title』派の私としては少し物足りない。ではあるが、もちろん『Title』以降の作品がクオリティが落ちているわけでもないので、バンドが順調に成長していっている。そのことは、もちろんこのライヴでも実感できる。ただこの日に限って言えば、フロントマンであるホリエの調子に波があるように見え、異様にテンションが高く音圧が凄まじい演奏のときと、今一つ焦点が定まらず密度の濃さを欠いた演奏とがあって、少し不安にもなってしまった。それでも終盤の『Killer Tune』からは盤石の構えを見せ、ラストは『Eternal』で締めくくった。バンドは今までひたすら突っ走ってきたように見えるので、今年くらいはスローダウンしてもいいのではと思う。



セットチェンジ~楽屋訪問

ステージ上で機材の入れ替えが行われる中、やはりモニターが稼動。シェリーが今度はライヴを終えたばかりのストレイテナーの楽屋を突撃した。3人とも汗ばんだ表情でソファに腰掛けていて、日向はなんとサングラスをかけ頭にバスタオルを巻いていて、ここで場内は大爆笑。質問カードやはり使い回しで、「もし音楽と出会っていなかったら?」の問いにホリエは郵便局員でもやりながらやがて音楽に出会い、40歳ででもデビューする、といったようなことを言っていた。ナカヤマは「会いたい人は?」に上戸彩と答え、日向は「今までで最高の出会いは?」に飼っているウサギと答え、名前はアートスクールの曲からつけた・・・と言ったはいいが、実はドーピング・パンダのメンバーも同じ問いに同じくウサギと答えていて、かぶってしまった。



Boom Boom Satellites

ステージのバックドロップにバンドのエンブレム旗が降りてきてモニターを覆い、バンド仕様へと変換。ライヴは『Easy Action』でスタートしたが、音圧の凄まじさが尋常ではなく、オーディエンスはのっけから引き込まれる。更には『Kick It Out』や『Intergalactic』、『Dive For You』といった、近年の作品からのロックチューンがこれでもかとばかりに連射され、場内の高いテンションが途切れるどころか更に持続され、まるでこの日のイベントがブン・ブン・サテライツの単独で、前2組はオープニングアクトでしかなかったのでは、とさえ思ってしまう。


私はこの日アリーナで観ていたので、久々にライヴの臨場感を体感していた。ステージに設置されていたスポットライトは演奏にシンクロするように閃光して、観る側の視覚を刺激した。川島のマイクにはエフェクトがかかっていて、ヴォーカルは生々しくありながらも電子的な広がりを見せていた。間奏になるとマイクスタンドの前を離れ、前方に乗り出してはエモーショナルにソロを弾いていた。ベースの中野はプログラミングもこなしているのだが、曲のイントロはこの中野の手によるプログラミング操作によるものが多く、実はバンドをリ−ドする存在にあるのではと思った。川島がフライングVを弾いているときは中野も同じくフライングVを手にしていて、2人でアグレッシヴなプレイを展開していた。ライヴは1曲1曲が長尺で演奏され、またトリということもあって本編~アンコールの構成となり、『Moment I Count』で締めくくった。


私がこのバンドを観るのは2006年のカウント・ダウン・ジャパン以来のことだ。およそライヴにハズレがなく、そのときも彼らは質の高いパフォーマンスをしてくれたはずなのだが、なぜか個人的にはピンと来るものがなく、もしかして私はこのバンドに飽きてしまったのではと思ってしまった。がしかし、この日のライヴを観て彼らの凄さを再認識した。現在の彼らの音楽はほとんどがヴォーカル入りのロックチューンで、インストを主体とし曲によってはアンビエントの要素も包含していた初期のスタイルが懐かしくもあるが、バンドの進む方向性は間違ってはいないのだと感じた。








場内にはカメラが設置され、ライヴの模様は逐次撮影されていた。それにはテレビ朝日のロゴがあったので、この日の模様がいつかテレビで放送されると期待したい(もちろん、5分じゃなく長尺でね)。ライヴそのものを楽しめたのはもちろんだが、ライヴの直前直後の楽屋内でのアーティストの表情を伺えたのは滅多にある機会ではないので、その意味でも貴重な体験だったと思う。このイベントがエピソードⅤ以降も開催され、もし自分の琴線に触れるアーティストがエントリーされてば、また参加してもいいと思う。




(2008.4.26.)
















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