開演時刻とほぼ同時に客電が落ち、ステージ向かって右の袖の方からロディ・フレイムが登場。今回のライヴはこの人ひとりだけのソロアコースティックスタイルで、よってステージには何の装飾もないばかりか、機材すらもほとんどなく、中央部にマイクスタンドがぽつんと立てられているのみ。よってステージ上にはかなりのスペースができている状態だ。ライヴは『The Sea Is Wide』でスタートした。
ソロアコースティックで狭い会場ということもあり、場内には終始フレンドリーな雰囲気が漂っていた。ロディもリラックスしてやれている様子で、MCも豊富だった。スウェーデンのストックホルムでフェスティバルに出たときに〜とか、本来の収録曲よりも、ボーナストラックの曲の方がよく書けたんだ〜とか(『Surf』の『Your Smile Has Stopped The Hands Of Time』)、といった具合で、かなり雄弁だった。マーク・ボランやロキシー・ミュージックたちのことを思い浮かべて書いた曲と言って披露された『Rock God』では、ラストでデヴィッド・ボウイの『Space Oddity』のリフを弾いてくれた。
場内のリアクションは、やはりアズテック・カメラの曲が出たときにすこぶるよくなった。『Stray』や『The Bugle Sounds Again』、そして中盤のクライマックスになったのは、もちろん『The Boy Wonders』だった。ここまでは演奏中はじっくりと聴き入って、終わると拍手という感じだった。しかしこの曲のときは、イントロが始まった瞬間に手拍子が発生。中盤ではお約束のパンパン♪という手拍子にシフト。終盤はもちろん「High!」「Land!」「Hard!」「Rain!」の大合唱となり、すっかり場内が温まった。ロディも満面の笑みを見せていたので、嬉しかったのだと思う。
どの曲だったか忘れてしまったが、歌っている最中に即興でカーティス・メイフィールドの『People Get Ready』の一節を歌いまた元の歌詞を歌う、といったようなこともあった。そして個人的に最も印象に強く残ったソロの曲は、新譜のタイトル曲でもある『Western Skies』だった。実はロディの足元にはセットリストとミネラルウォーターのほかに、ブルースハープがずっと置かれていたのだが、これを使ったのが唯一この曲のときだけだったのだ。CDにはバンドスタイルで収録されているのだが、ライヴの場でブルースハープを絡めたアレンジで来るとは思わず、意外にして嬉しかった。
いよいよ終盤になり、アズテック・カメラ時代の曲は更に披露された。ファーストからの『We Could Send Letters』や『Love』からの『How Men Are』、この曲は知ってるかなと言って始まった『Frestonia』からの『Sun』などだ。そして第二のクライマックスとなったのが『Oblivious』のときで、だけどサビに差し掛かる手前で客が「Haaaaa Ahhhhh〜♪」とコーラスを入れるところで、ロディが苦笑いしながら遅い遅いとダメ出しし(笑)、やり直しに。もちろん2度目はしっかりキメました。
そして『Down The Dip』の終盤、ロディはマイクスタンドを離れて延々とギターソロを繰り広げた。真横を向きながらギターをかき鳴らすその姿は、まるでエルヴィス・プレスリーやエディ・コクランといった偉大な先人が乗り移ったかのようだった。ここまでどの曲もほとんど原曲と同じ尺で演奏されていたのだが、中盤までのフレンドリーなノリのロディと違い、まるで何かに取りつかれたかのようにいつ終わるとも知れぬプレイを繰り広げるその姿に、改めてこの人のアーティストとしての凄さを垣間見た。本編ラストは『The Birth Of The True』で締めて、ロディはステージを後にした。
アンコールを求める拍手はいつにも増して激しく、ロディはあまり間を置かずに登場してくれた。さらりと『Reason For Living』を披露してすぐさま袖の方に戻ってしまったが、観ている側としてはこれで終わるはずはないという思いで拍手を送り、すぐさま2度目のアンコールに。最後に2曲を演奏してくれて、約1時間40分に渡ったライヴは幕を閉じた。しかし客電がつき場内アナウンスが入った後でも、客は更なるアンコールを求めてしばらくの間拍手をやめなかった。