マイクスタンドの前に立ち、まずはアラン・トゥーサンとの共作からタイトル曲の『The River In Reverse』を熱唱。続いては96年作の『All This Useless Beauty』、そして『The Birds Will Still Be Singing』ときた。コステロはアコギを丹念に弾きながら歌い、そしてバックのオーケストラもそれに続く。第2部からのはずのオーケストラとのコラボレートが、前倒しのような形で実現してしまった。『Il Sogno』を凝縮させたのは、単に削ったのではなく、終盤に自身が加わって演奏するというアイディアを思いつき、それをした方がベターだとコステロが判断したからだろう。実際、それでよかったと思う。
休憩時間は約20分で、その間にグランドピアノがステージ中央に持ち込まれた。そして第2部となり、コステロはもとよりスティーヴ・ナイーヴも登場。ピアノの前に座ったスティーヴは、なんと坊主になっていた。そして演奏が始まり、コステロ自身が1曲毎に解説を加える形で進行。バカラックとの共作である『Painted From Memory』は如何にもという感じだったが、一方でオケなしで自身のアコギだけで熱唱した『Veronica』は、この日最も「ロックな」コステロだった瞬間だっただろう。
終盤になり、今度はお馴染みの曲が連打される。『Almost Blue』や『Watching The Detectives』は初期のコステロ作品だが、特に前者はオケとコラボレートされる用に書かれた曲ではないかと思うくらいにハマっていたし、後者はジャジーなアレンジによって原曲のアナザーサイドを示してくれた。どちらも今年1月にリリースされたライヴアルバム『My Flame Burns Blue』に入っていて、これはジャズフェスを収録をしたものなのだが、コステロの懐の深さを改めて感じさせてくれる。更には、映画に起用され現在のコステロの曲で最もメジャーと思われる『She』も披露。コステロが、こういうのはアンユージュアルだと言っていたのが印象的だった。
『God Give Me Strength』で第2部を締めて、いったんはステージを後にするコステロ。しかしオケを始め他のメンバーはそのままステージに残っていて、こりゃすぐアンコールだなと思ったら、すぐさま生還してくれた。『I Still Have That Other Girl』を経て、お次はなんと名曲『Alison』!コステロ自身のアコギで始まり、オケは間奏で自然に入ってくるというアレンジだ。第2部では「らしい」選曲がされて進んできたのだが、まさかアンコールにきて、この曲をオケバージョンで聴けるとは思わなかった。個人的にハイライトとなった瞬間だった。
この決定的な曲を放ってしまったこともあり、そしてコステロがスティーヴやグレッグやオケを紹介したというのもあり、これでおしまいという雰囲気が一瞬漂った。がしかし、もう1曲『Hora Decubitus』を披露してくれて、更にコステロは人差し指を立てて、もう1曲聴きたいかい?〜といったような合図をした。もちろんイエスだ。そしてオーラスになったのは、『Couldn't Call It Unexpected #4』。コステロはマイクを使わず、肉声で歌い上げる。5000人規模の会場でこんなことができるのも、自信と余裕の現れだろう。