Speed 2003.11.12:横浜アリーナ

客の年齢層は恐ろしいまでに低く、そして女の子が圧倒的に多く、自分などきっと浮いてしまうに違い ない。・・・という予想は、もろくも崩れ去った。カップルはもとより、親子連れはいるわ、サラリーマンはいるわ、マニアックなファンはいるわで、フタを開けてみれば実に多種多彩な客層だったのだ。スピー ド恐るべし。





 開演予定は午後6時半だが、アリーナはともかくスタンドはまだ空席が目立つ。やがて客電が少しだけ 落ちて場内が薄暗くなり、それから10分ほど経つと完全に落ちた。場内はファンが手にしているペンライ トで彩られ(必需品なのかな)、SEが鳴り響く中、ステージの幕が落ちる。ついに4人が姿を見せた。オー プニングは新曲『Be My Love』。今回のツアーは、「Save The Children」というキャンペーンがバックボーンにあるのだが、この曲はそのテーマ曲にもなっているのかな。


 ステージは、4人が歌い踊るためのスペースがかなり広く取られていて、正面及び両端に花道が突き出 している。4人の後方にはのれん状態のスクリーンがあり、ここに地球や子供たちの顔といった映像が浮 かぶ。かすかなすき間から、後方にバンドが陣取っているのがうかがえた。スクリーンは両端の上の方にもあって、踊る4人の姿を中心に映し出している。


 歌い終わると、早くも(笑)MCコーナーに。4人がひとりずつ挨拶し、盛り上がって行こー♪、いい思い出作ろうねー♪という彼女たちのことばに、ファンは敏感に反応する。続くは『Go Go Heaven』~『All My True Love』~『Steady』と、ヒット曲を連発。ここで後方のスクリーンが上がってバンドメンバーもお目見えするのだが、しかしどうしても視線は前方の4人の方に行ってしまう。





 HIROと今井絵理子の2人がメインヴォーカルで、上原多香子とHITOEがバックヴォーカル。そして踊りは全員で、というのがこの4人の基本スタイルだ。立ち位置というのは特に決まっていないようで、目まぐ るしく入れ替わる。少し視線を離すと、どこに誰がいるのかがわからなくなってしまう(苦笑)。HIROはなんでこんなに甲高い声が出るのか、とずっと感じ続けてきていたのだが、もちろんここでも健在。今井絵理子は安定した歌声を聴かせ、HITOEはナチュラルに踊る。上原多香子はやや地味な感があるが、それでも体の切れは鋭い。


 HIROのソロを経て、ステージ前方のスペースに椅子が用意され、4人が腰掛けてMCタイム。歌に踊りにと体力的にかなり過酷に見えるので、こんなコーナーでも作らないと続かないのかな。しかし、買い物をしただとか鍋をやっただとか、しゃべりの内容はどうでもいいことばかりで、しかもその間客席からは4人の名前を叫ぶ声が絶えない。個人的にはかなりキツい時間帯で、早く曲に行ってくれえと思っていた。


 さて再開。4人は座ったまま『My Graduation』を歌い、そしてアレンジもアンプラグドに。こうした原曲とのバージョン違いも、ライヴならではだ。この後は今井絵理子のソロとなり(4人それぞれ1曲ずつソロを歌ったのだが、今井絵理子のが曲も本人の出来も最も良かったと思う。HIROと上原多香子のはアイドル然としすぎていて、HITOEのはダンスビート寄りだった)、メンバー紹介などもここで行われる。ギター2人、ベース、ドラム、サックス、キーボード、コーラス2人という編成だったかな。





 今月27日には新譜がリリースされるそうで、そこに収録される曲として、いろいろなアーティストに作曲を依頼していたようだ。4人がゴスペラーズの曲をモニターで観るさまが映り、メールで曲を依頼するという小芝居の映像がスクリーンに出る。するとすぐさま返事が来て(早っ)、その曲『Walking In The Rain』を実際にステージで歌うという段取りだ。この曲は、アルバムと同じ日にシングルとしてリリースされるとのこと。そしてトミー・フェブラリーに書いてもらった曲というのも演って、4人がチアリーダーの格好をして踊るという映像もお目見えする。


 終盤は、『Body & Soul』『White Love』といった鉄壁のヒット曲で一気に畳み掛ける。5人の男性ダンサーも加わっての統制のとれたダンスがあったり、4人が2人1組になって両端の花道まで走ってく る回数も増えてくる。そして本編が終了し、場内はアンコールの掛け声となるが、映像は「アルコール?」「ダンボール?」「ワンコール?」という、ちょっとした語呂合わせのおふざけもあって、テンションが高かった場内も少し和む。何度目かの衣装替えをして再登場した4人だが、今回はグレーのTシャツにジーンズで首に白いタオルを巻いてという、ラフないでたちだった。そして本編終盤の密度を盛り返すように『Wake Mu Up』で始まり、ラストは『Happy Together』。こうして、約2時間半に渡ったライヴは幕を閉じた。





 スピードが解散したのは、2000年3月のこと。彼女たちが持ち合わせている才能を思えば、解散は早すぎたと個人的には感じていた。その後メンバーは歌に役者に舞台に絵画にとそれぞれ活動の場を求め、スピードと しては1度だけチャリティーライヴで復活。しかし今回の復活は、1度どころか大規模なツアーまで行い、そして新譜もリリースされる。解散し、それまでの活動を1度リセットできたことが、彼女たち自身にとってプラスに働いていると思う。そして今後だが、ソロ活動とスピードとしての活動を交互に行うようにすれば、それは相乗効果となって彼女たちをより一層輝かせるのではないだろうか。




(2003.11.13.)



















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