開演予定時間から30分も待たされた後(BGMはなぜかビートルズの『(White Album)』だった)、囁きというかうめきのようなイントロが響く。少しして客電が落ち、これだけで場内のヴォルテージが上がる。ステージは白い幕で覆われていて、メンバーが入場するとその影が幕に写る。ライトがフラッシュバックのようにびかびかと光り、やがて歯車が軋むような音とピアノによるイントロに切り替わる。『Count To Six And Die』で、これは新作『Holy Wood』のラストに収められている曲だ。そして幕が落ち、マンソンとバンドが私たちの前に姿を見せる。
すかさず『Irresponsible Hate Anthem』へとつなぐ。音が割れて音響がひどいが、そうした中でマンソンが金切り声をあげ、バンドによる爆音が炸裂する。後方左にdsのジンジャー。右はkeyでモヒカンヘアのM・W・ガーシー。2人のセットは一段高くなっていて、keyは太いスプリングで固定されている。前列左にbのトゥイギー。白いスカート姿で人形のように可愛く、そして不気味だ。向かって右、つまりワタシのすぐ目の前にいるのがgのジョン 5だった。
『The Death Song』、そしてシングルのジャケットと同じ胎児が磔になった絵がバックに浮き出る『Disposable Teens』の新作ナンバーに続いては『Great Big White World』。ジョン 5の指先から発せられる甘美なリフが印象的だ。続く『Tourniquet』で早くも竹馬がお出まし。結構安定感があってステージを楽に歩き回る。お椀のような形をしたシルバーのヘルメットをかぶり、ヘッドマイクで歌うマンソン。「トキオォォォォーーー」を連呼する『The Fight Song』、そして『The Nobodies』。この曲は一聴して地味ながら、『Holy Wood』を貫く怒りや闘争といったテーマを最も色濃く反映している曲だと感じていて、ナマで体感できて嬉しかった。
『Lunchbox』『Rock Is Dead』『Dope Show』の3連発は、中盤のハイライトだろう。銀の紙吹雪を客席に浴びせ、何度も客電をつけてはオーディエンスをその下にさらす。私たちのいるステージ右側の最前方まで身を乗り出し、こぶしを振り上げオーディエンスをあおり絶叫するマンソン。と今度は反対の左側に行き、なんとステージを降りた!当然ながらもみくちゃにされまくった後にステージに生還。私も頭の中を空っぽにしてこぶしを振り上げるが、集会に参加しているようななんだかヤバい気分になってきた(笑)。
今度はするするとマンソンの体が天井に向かって伸びた!そしてまるで糸で操られているかのように上体をガクンとさせながら『Cruci Fiction In Space』を歌う。続く『Burning Flag』では、文字通りこげた星条旗がバックに掲げられ、マンソンは拡声器でわめく。『In The Shadow Of The Valley Of Death』では自分もギターを弾く。この辺りになるとなんかもう我を忘れ、体を動かすことも忘れ、ただただ見とれてしまっていた。
いよいよ終盤。今度は真っ赤な演説台が用意される。正面にはライフルと2丁のリボルバーとで十字架が形作られ、同じ絵柄がバックにも浮かぶ。『The Love Song』だが、ベタベタした甘さとはまるで無縁の、こんな激しいラヴソングを歌う奴はこの男しかいない。そしてついに出た出た『The Beautiful People』!!ドドドドッドッドツという印象的なドラミングと、身体が引き裂かれるかのようなジャジャッというギターリフは永遠不滅だ。