ステージ奥にはdsのケヴィン・ハスキンス。向かって左はbのデヴィッドJ。右はgのダニエル・アッシュだ。そしてその間にいるのは、ではなく、あるのは・・・、な、なんとモニター。モニターにピーター・マーフィーの顔(CGのようにも見えた)が映り、そして演奏が始まる。やはり、と言うかいきなりの凝った演出だ。続いて『In The Flat Field』へ。ここでモニターが退いてピーター・マーフィー本人が登場する。スーツ姿だ。この美意識、たまらなくいい。まるで吸血鬼のような小奇麗さを感じる。ステージ上を右に左に激しく動く。カッコいい。デヴィッド・ボウイ〜イギー・ポップに相通ずるモノトーンっぽいvoも渋くていい。私の隣の女性二人組は「カッコいいっ」を連発している。
ほぼベストヒットに近い選曲で演奏は続く。照明は、スポットライトが個々のメンバーにあてられたり、フラッシュが閃光のようにびかびか光ったりはするが、基本的にはステージを暗く留めている。意図的なのだろうか。ピーター・マーフィーの動き、氷室京介とプリンスを連想してしまった。私だけか?激しくもしなやかで、そしてステージから客席を鋭く凝視し、手をかざし、差し伸べている。アルバム『Burnning From The Inside』の制作中にピーターと他の3人のメンバーとで決裂してしまい、その後しばらくツアーを続けるも(この頃に来日している)、結局は解散。今回の突然の再結成(やはり金が目的なのだろうか?)、もちろん私は嬉しいが、リアルタイムで体験した人にとってはやはり複雑な想いがあるのだろう。しかし、世界中に幾多のフォロワーを生んだそのルーツ、その底辺が、今、目の前で繰り広げられているパフォーマンスの中に垣間見ることができる。ラヴ&ロケッツは全米で商業的な成功も収め、2年前には来日も果たしたが、やはり、ピーター・マーフィーを中心に据えたこの編成こそがベストで、最もバランスがとれていて絵になる、と感じる。
ステージ上にわざわざスタッフが出て来て、幕でピーター・マーフィーを覆い隠し、その中で着替えをさせる。その間をつなぐダニエル・アッシュ。失礼だが笑う光景だ。そして『Boys』から『She's In Parties』へ。ここから急加速の様相を見せる。『She's 〜』は、実は個人的には結構思い出深くて印象的な曲である。何故か私の弟の部屋のCD棚に『Burnning From The Inside』があった。弟はX JapanやLuna Sea、Buck-Tick、Die In Criesなど、日本のヴィジュアル系バンドをそのインディー時代から聴き狂っていて、それらのバンドがフェイヴァリットとして挙げていたのが他ならぬバウハウスであり、そこに興味を示して買って聴いていたらしい。そして私は、弟がそのCDにもう飽きたということで彼からそのアルバムを譲り受け、聴いていたのだ。ピーターと他のメンバーの意識がバラバラな状況下で作られたアルバムだが、しかしバンドの音楽的完成度は最も高い、と思っている。その1曲目であるこの曲。サビの部分でのダニエル・アッシュとデヴィッドJのツインコーラスもいい。観客のリアクションも良好で少し嬉しくなる。
この後、『Passion Of Lovers』『Dark Entries』と一気に続く。『Dark〜』の演奏の途中でデヴィッドJはbを放り投げてステージを去る。演奏が終わり、ピーターとケヴィンが颯爽と去って行く。唯一ダニエル・アッシュだけが延々とgを弾き続けている。そして本編が終了。アンコールを求める強い拍手、しかしなかなか出て来ない。何故か間が空く。何をもたもたしているのか、と思ったら、再びメンバー登場。どうやらメンバーの衣装替えで時間がかかっていたらしい。どこまでもヴィジュアルに固執するんだな。シルクハットをかぶったダニエル・アッシュがピーターに耳打ちしている。そして、もう私は事前にわかっていたことなのだが、『Telegram Sam』の始まりだ!!会場内が花火でも投げ込まれたかのような騒ぎになる。ここまでほとんどの客は座って観ていたのだが、ここで総立ちとなる。予定通り、だな。そしてこの後はもう必勝リレーと言ってもいい『Ziggy Stardust』!!!