The Smashing Pumpkins 98.6.23:日本武道館

 凄かった。

 本当に凄いLIVEだった。

 何度でも言う。凄かった。

ポール・マッカートニーの自宅に招かれたとき、帰りに事故に遭ったとしても、世界一幸せな男として死ねただろうとノエル・ギャラガーは語ったそうだが、ノエルの言った言葉がわかるぐらいにこの日のライヴは凄かった。





夜7時を5分ほど回ったところでメンバーが姿を見せる。ビリー・コーガン、ジェームズ・イハ、ダーシー、全員黒づくめの衣装。ドラムセットが2つに、パーカッションのセットもある。正式メンバーがいない穴を数で埋めようとしているのか。アルバム『Adore』まんまに『To Sheila』でスタートする。美しい。以後、『Adore』からの曲が次々に演奏される。どの曲も美しい。ビリーはgをかきならしながらステージを右に左にと動く。ダーシーは派手なアクションはないが、しなやかにbを奏でている。唯一イハだけが終始直立不動で、しかもうつむきっぱなしで表情が全くわからない。全くもって3者3様で一見バラバラなのだが、これがなぜかバンドとしてうまく化学反応して、結果、何百倍ものエネルギーを発散している。


スマパンの代表作といえば、多くの人は前作『Mellon Collie And The Infinite Sadness』を挙げるのだろうが、個人的には『Mellon Collie ~』とは比べものにならないくらい『Adore』の方が凄いと思っている。それがステージ上で演奏されているのだが、アルバムではしっとりめだったのが、ステージ上ではハードでヘヴィーでノイジーでラウドな曲に生まれ変わっている。要所要所で3人のメンバーにスポットが当たり、まるでコンサートというよりオペラを観ているようだ。シングルカットされている『Ava Adore』では歓声も一段と大きくなる。





1時間ほどたったところでビリーがアコギに持ち替える。そして響いたのは、なんと『Tonight Tonight』のイントロ!当然だがこれまでで最高の盛り上がりとなる。これまで緊張感が張り詰めていたような空気だったのが、一気になごんでしまった。ビリーも楽しそうだ。


なおも演奏は進み、そしてアルバムでもハイライトの一つであろう『For Martha』が延々と繰り広げられる。凄まじいギターソロ。そして本編が終了。しかし、アンコールでは一転して陽気な曲で始まる。後でチープ・トリックの曲『I Want You To Want Me』とわかる。彼らがチープ・トリックの大ファンなのは最早有名な話で、4月にはビリーは競演も果たしている。しかもここは武道館。連中にしてみればしてやったり、か。


その後飛び出したのは『1979』!!もうイケイケ状態になる。そしてラストは『Adore』の最後のハイライトである『Blank Page』となった。演奏終了後、他のメンバーは全員ステージを後にしたが、ビリーがただ1人残って客席に丁寧に礼をする。そして、なんとステージをぱっと飛び降りてアリーナ席に近づいていった。アリーナ席が大パニックとなる。できる限り多くの観衆と握手しようと手を差し伸べるビリー。最後は、アリーナ前方をそのまま歩いてバックステージへと戻っていった。


正味約2時間のライヴだった。しかし、1曲1曲がクライマックスのように感じられ、もっと時間が経っていたのでは、と思うほど密度が濃いように思えた。





実は、今回の来日がたった1回きりで、しかもウィークデーだったので、ぎりぎりまで観に行くのを迷っていた。それが今では、どうして前回の来日公演にも行かなかったんだろう、と今更ながらに思ってきた(前回来日は96年2月でメロンコリーのときツアー)。もちろんその時も仕事とか自分の中の思い入れの度合いとかいろいろ考えて、結局行かなかったのだが。知らないってことは怖いことだ。最後にもう一度、





























凄いLIVEだった!!!














(98.6.24.)

































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