Bob Dylan Never Ending Tour 1997









オープニングアクト

 このときの公演ではオープニングアクトが起用されることになっていた。が、直前まで誰が務めるのかが明らかにされず、結局無理だったんじゃないかとか、シャレでホフ・ディランが出てくるんじゃないかとか(笑)、勝手な想像をめぐらせていた。


そしてディランの露払いという大役を務めたのは、テリー・ホール&デイヴ・ステュアート。テリー・ホールは元スペシャルズのヴォーカル。デイヴはユーリズミックスのメンバーであり、プロデューサーとしての手腕も評価が高い。約40分のステージで、私が覚えている曲はジョン・レノンの『Working Class Hero』、トーキング・ヘッズの『Psycho Killer』、そしてデイヴがリードヴォーカルでの『Here Comes The Rain Again』など。楽器はデイヴがアコースティックギターを弾くだけのシンプルなものだったが、このスタイルは好感が持てた。











1997年2月9日(日) 東京国際フォーラム ホールA

1. Crash On The Levee
(Down In The Flood)
10. Seeing The Real You At Last
11. Simple Twist Of Fate
2. I Want You 12. Highway 61 Revisited
3. All Along The Watchtower Encore
4. Just Like A Woman 13. Like A Rolling Stone
5. I'll Be Your Baby Tonight Encore 2
6. Silvio 14. It Ain't Me Babe
7. Oh Babe, It Ain't No Lie Encore 3
8. Masters Of War 15. Rainy Day Women #12 & 35
9. Don't Think Twice, It's All Right

 マニアックな曲の中に往年の名曲を織り交ぜ、途中には当然アコースティックのパートもある。本編が終わり、アンコールはなんと『Like A Rolling Stone』!素晴らしい!この曲1曲でディランは引っ込むが、この後信じられないことが起こる。


再度のアンコールを求める間に客がステージ前に集まりだし、たちまち人だかりができる。私もこれは行くしかないと思い、突進。そしてディラン登場。演奏が始まり、ステージ前はライヴハウス状態と化す。と、ブチ切れた客の何人かがステージ上に上がり、ディランに抱き付く始末。ディラン本人は歌どころではなくなり、バックの演奏だけが淡々と進む。ようやくスタッフが出てきてオーディエンスを下にひきずり降ろす。


演奏再開。私は人の渦をうまく利用し、ステージ正面の前2列目くらいをゲットする。2メートル前方にあのディランがいるのかと考えただけで、もう頭がパニックになっている。ステージ前に集まったオーディエンス、そしてディランと一緒に歌った『It Ain't Me Babe』は生涯忘れない。ディランは再びステージを後にするが、最後にもう一度登場。『Rainy Day Woman #12 & 35』で感動のステージは幕を閉じた。











1997年2月10日(月) 東京国際フォーラム ホールA

1. Crash On The Levee
(Down In The Flood)
10. Stuck Inside of Mobile
With The Memphis Blues Again
2. If Not For You 11. You're A Big Girl Now
3. All Along The Watchtower 12. Highway 61 Revisited
4. Shelter From The Storm Encore
5. Just Like Tom Thumb's Blues 13. Like A Rolling Stone
6. Silvio 14. Girl From The North Country
7. Oh Babe, It Ain't No Lie Encore 2
8. Tangled Up In Blue 15. Rainy Day Women #12 & 35
9. Love Minus Zero/No Limit

 前日の騒ぎのために主催者側が警備員を増やし、列をふさぐ柵も設けられていた。のだが、この日は少し早い本編再終『Highway 61 Revisited』の時点でもうライヴハウス状態になる。当然私も再び突進。またしても正面2列目をゲットする。この日はもう間近では見れないだろうと諦めていたので、ラッキーだった。こんなことはドームや武道館じゃステージも遠いし絶対起こり得ないよなあと思いながら、前日よりも幾分冷静に、観察するようにディランを見た。


個人的には94年のジャクソン・ブラウンのアンコールのときにも同じような状態になったのだが、そのときはなぜか飛び出すことができず、ステージ前の騒ぎをただ観ているしかなかったという苦い経験があった。そのリベンジを果たせたという満足感と、他ならぬボブ・ディランを目前で観れたという衝撃に、もうこれ以上求めるものはなかった。この2公演は私の生涯ベストライヴだ。


と、両日ともアンコールは今でも鮮明に覚えているが、改めてセットリストを見直すと、実は本編も名曲を中心にした物凄い密度だったことに気付かされる。この充実ぶりは、約半年後に発表される全曲オリジナルの傑作『Time Out Of Mind』の予告編だったのかもしれない。
















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