それでもモリッシーが姿を見せたときは、感慨に浸ってしまった。幾分太ったようには見えるが、それでもモリッシーはモリッシーだ。ここ数年は目立った活動がない隠遁状態だったが、ついにその眠りから覚め、今再び私たちの前に姿を見せてくれたのだ。そして冒頭は、なんとスミスの『I Want The One I Can't Have』(恥ずかしながらその場ではわからず/汗)。7年前の来日でもスミスの曲は解禁していたが、なんと思い切ったことをするのだろう。
私個人としては、モリッシーは『Vauxhall & I』で、やっとスミスのキャリアに振り回されることなくソロアーティストとしての自我を確立したと思っているので、選曲が初期にばかり集中しているのはキツかった。どうやら新曲も披露したようなのだが、ライヴ全般の空気を変えるまでには至らなかった。終盤こそ『Meat Is Murder』や『Speedway』で盛り返したが、全体的にどうしてこのようななスタイルを取ったのか、モリッシーの意図がわからないままに本編が終わってしまった。
ライヴがこのまま終わってしまっても仕方がない状況だったのだが、それでもモリッシーは再び姿を見せてくれた。そしてアンコールとして、ラストとして放たれたのは、なんと『There Is A Light That Never Goes Out』だった!曲調は相変わらずスローだが、もともとこの曲はこうしたテンポなので、差し障りはない。スミスとしてはついに日本に来ることはなく、スミス時代の代表曲のひとつであるこの曲を、ナマで聴いたことのある日本人は少ないはずだ。モリッシーはサビを歌わずにハミングしていたが、これも何かの意図があってだろうか。とにかく、この1曲があったことでこのライヴは救われた。私にとってのサマーソニックのラストも、救われたのだ。