ヴォーカルのニックがタンバリンを手にして軽く鳴らし、これだけで場内はざわめき出す。あの曲、あの瞬間、『Are You Gonna Be My Girl』が放たれるという期待感が充満しているのだ。低いベースラインのリフで、まずは場内が沸き立ち、暴れ出す。そしてサビに差し掛かったときだ。バンドは演奏をぴたりとやめ、ニックはオーディエンスを煽る。来い!・・・もっと来い!・・・もっと騒げ!・・・とでも言っているかのように。そして例のフレーズをさらりと歌い、ジャッジャッジャーッという印象的なリフが炸裂する。
とてもまだアルバム1枚きりのバンドとは思えないライヴをやってのけたジェットだったが、彼らは今のあり方に必ずしも満足していないのではないかという気もした。求められハイライトになっているのが、結局『Are You Gonna 〜』だという現状も、いい意味で活用してはいるが、あまり居心地のいいものではないのかもしれない。ハード路線一辺倒から脱し、もっと幅広い、もっと懐の深い音楽を表現できるようになったとき、彼らはより一層魅力的に映り、またロック史にその名を刻めるバンドになるはずだ。