Summer Sonic 2007/Day 2-Vol.1 The Enemy/The Polyphonic Spree







初日は好天に恵まれていて暑かったのだが、2日目も同様に暑い。初日はまるまるインドアで過ごしていたのだが、2日目はまず幕張メッセ内のロッカーに荷物を預けた後、マリンステージすなわち千葉マリンスタジアムに向かった。入場ゲート前には扇風機がいくつか設置されており、ミストが捲かれていた。


例年、マリンステージに入場する際は強制的にアリーナに通され、その前に荷物チェックを受けていた。スタンド席目当ての人でも、アリーナに持ち込めないものはその場でチェックされるという、理解不能な仕切りだったのだ。しかも、それを1日中するのではなく、朝イチの時間帯のみ。なので、正直面倒だなあと思いながら行ったのだが、今年はスタンド席目当ての人は最初からスタンド入口にナビゲートされた。やっていることの無意味さに、主催者側もやっと気がついたのだろうか。





この日のマリンステージはUKロック勢で固めていて、その先陣を切って登場するのがジ・エナミーだ。ミッドランド出身の3ピースバンドで、3人とも20歳前後という新鋭である。そしてその実力は・・・結論から先に言ってしまえば凄かった!!年齢の通り、容姿は若いというより幼ささえ感じられるくらいだが、その演奏力は本物だった。ドラマーが後方中央に陣取り、前方向かって右にベース、左にギター&ヴォーカルのトムという配置。3ピースという、誰ひとり気の抜けない編成で各人が持てる力量を発揮し、それがうまくクロスして迫力になっている。


朝イチの、しかもそれがアウトドアステージというのはとても重要な役割を担っていると思っていて、エナミーはそれを期待を大きく上回るパフォーマンスで応えてくれた。新人らしいイキの良さと勢いを感じさせつつ、しかし既にただならぬ風格さえ漂っている。メンバーがステージを降りてモッシュピットに突入してオーディエンスを煽るということをするわけでもなく(もちろん、それをするのも特にフェスの場においては有効なのだけど)、音楽のみで真っ向勝負。そしてその音だが、ジャムを彷彿とさせる骨太のギターロックで、ポップにしてパワフルであり、十分過ぎるインパクトを備えていたのだ。


エナミーのライヴを観ながら、個人的にこれまで観てきたサマソニのアウトドアのファーストアクトのことが頭によみがえってきた。2000年のミューズ、2003年のレイザーライト、2005年のジ・アザーズなどである。知っての通り、ミューズは今や押しも押されぬヘッドライナークラスにのし上がり、レイザーライトは今年のレディングのヘッドライナーにエントリーされている。もしかして、何年か先にはエナミーも・・・、という期待を抱かせるステージだったように感じた。クラクソンズが期待はずれだったこともあるが、間違いなく今年のサマソニのベストニューカマーである。





マリンステージ、続くはザ・トゥワングで、こちらも同じくニューカマー。バンドは5人組だがサポートもいたように見え、結構大所帯に。ギターロックでいながら若干ダンスの要素も備えていて、これはこれでユニークなスタイルだ。がしかし、新人と聞いていたが新人らしい初々しさを見出すのは難しく、既に何年もやっています的な老獪さの方が際立っていて、ちと違和感あり。音楽といいバンドの在り方といい、ブリティッシュ・シー・パワーに近いものを感じた。


ここでマリンステージを後にし、幕張メッセへ。食事したり少し休んだりした後、ダンスステージに行ってマスタークラフトを。デス・フロム・アバヴ・1979(以下DFA1979)のベーシストがやっているソロプロジェクトで、DFA1979の方は何度か来日もしていたものの昨年解散。ということは、今やコチラの方が活動のメインになっているということだろうか。音楽的にはベースとドラムのユニットで爆音をかき鳴らしていたDFA1979とはまるで異なり、卓上でコンピューターを操ってダンスチューンを発するというたたずまいだった。





ソニックステージに行き、大所帯バンドザ・ポリフォニック・スプリーを観る。セットチェンジ中、ステージ上には黒い帯が横にはりめぐらされ、設置される機材や設置しているスタッフの姿が断片的には見えるものの、はっきりとした様子まではわからない状態だった。そして時間になり客電が落ちたのだが、黒い帯がストンと落ちると、そこにはいつのまにか大人数のバンドが陣取っていて、姿がオープンになったのと同時に演奏もスタートした。2003年のサマソニでも観ているが、やはり圧倒的である。


編成は、ギター、ウッドベース、ドラム、キーボードといった通常の機器だけでなく、ハープやバイオリンといった楽器も動員。そして、男女計6名くらいのコーラス隊がいて、彼らは飛び跳ねながら気持ちよさそうに歌っていた。全員が黒のツナギを着ていたのだが、中盤になるとまた黒い帯がステージを覆い、その間最低限のメンバーを残して他はいったんステージを後にする。やがて戻ってきた彼らは、今度はお馴染みの白装束に着替えていた。やがて演奏をつないでいたメンバーも白装束になって戻り、ニルヴァーナ『Lithium』のカヴァーまで繰り出していた(新譜にも収録されているようだ)。終始祝祭ムードが漂うライヴだったが、このバンドはやっぱりフジで観たいなあ。


(2007.9.17.)
















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