Summer Sonic 2005/Day 1-Vol.3 The Tears/Echo & The Bunnymen/Slipknot







ブレット・アンダーソンとバーナード・バトラーが、10年近くの歳月を経て再びタッグを組んだザ・ティアーズ。そのライヴを観る機会は、思ったよりも早くやって来た。個人的には、バーナード脱退後のスウェードのライヴは2度、そしてバーナードのソロも3度観ているのだが、両雄が同じステージに並び立つのを観るのは、今回が初めてだ。


 2人がステージに姿を見せ、それだけで場内には歓声が沸く。早速ライヴが始まり、サングラスをかけたブレットは、スウェード時代とほとんど変わらないアクションをしながら熱唱。そして、ブレットの向かって右に立ちギターを弾きながらバックヴォーカルを務めるのがバーナードだ。2曲目で早くもシングル『Lovers』を放ち、バンドの状態がいい具合であることが伺える。ただし、音が小さすぎる。ブレットの声にしても、バーナードのギターにしても、音に迫力を欠いている。嗚呼。よって、2人のせっかくのプレイも、そのエネルギーがダイレクトに伝わることがなく、空回りしているように見えてしまった。バンド自身に罪はないが、残念なステージだ。ティアーズの力量はまだまだこんなものではないはずだし、それを証明するためにも、早期の単独来日を実現させるべきだ。





 マウンテンステージに移動し、エコー&ザ・バニーメンを。観るのは2003年の単独公演以来だ。このステージはスペースが広く取られているのだが、き、客が少ない。この日のマウンテンステージはUK勢中心で、この後トリで出演するデュラン・デュランへの流れでエコバニをここにブッキングしたのだろうが、なんだかすきま風吹きまくりの状態になってしまっている。


 そして、イアン・マッカロクのパフォーマンスも精彩を欠いていた。シガレッツ&アルコールの摂取しすぎなのか、声ががさがさで通っていない。そして、歌詞を飛ばしてハミングでごまかす場面も2度。とてもじゃないが、ライヴパフォーマンスとして褒められたもんじゃない。これが、コールドプレイが最も好きだと公言しているバンドの姿なのだろうか。横にいるウィル・サージェントのギタープレイが緊張感を保っていただけに、非常に残念だ。


 私が観たのはライヴの中盤部分に当たり、聴けたのは、『Dancing Horses』『Killing Moon』『Back Of Love』といった往年のヒット曲。サマソニ出演があったがために、新譜『Siberia』を日本でのみ6週間前倒しでリリースしたのだが、そこからの曲は演ったのかな。不遇の時期を経て復活を果たしたエコバニだけに、ファンが求めているであろうベストヒットもいいが、現在のバンドのあり方をもっと前面に出してもいいのにと思った。





 この後は、今回のサマソニで初めて千葉マリンスタジアムに移動。2階席に陣取り、夕食を摂りながらスリップノットを観る。アリーナを見下ろすと、前方のブロックは密集したオーディエンスがモッシュしていて、ライヴの凄まじさが伺える。スリップノットのメンバーは9人。全員がツナギ服に不気味な面を被っていて、そしてヴォーカルのコリィが日本語でオーディエンスを煽る。





 テヲアゲロー!





 とか、





 ナカユビタテロー





 とか、





 キミタチハサイコウダ!





 とか。





 「アリガトウ!」とか「ゲンキデスカ?」とか、日本語でMCをする海外アーティストは、ことにフェスティバルの場においては、決して少なくない。そんな中でコリィの日本語MCにはアクセントがなく、日本人が使う日本語に近い発音に聞こえた。そして曲が始まると、演奏は爆音炸裂モード、ヴォーカルはまるで怒号のようで、何を歌っているのかさっぱりわからない。がしかし、この得体の知れないものすごい勢いこそが、このバンドの持ち味になるのかな。


(2005.8.23.)
















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