Summer Sonic 2003/Day 2-Vol.2 Mando Diao/Interpol/The Mars Volta







渋滞していた入り口をやっと抜けたと思ったら、インドアステージは更にとんでもないことになっていた。入り口付近に人が集中していて、一向に進む気配がない。そうしているうちに時間ばかりが過ぎ去り、開演の5分くらい前になって、やっと係員が入場規制がかかった旨を伝える。しかしここで、あまりの段取りの悪さ、周知連絡のなさに方々から不満が爆発。やがて後ろの方からぐいぐいと押される具合になり、本来の入り口とは異なる、手前の空間から人が中へなだれ込む格好になった。この群衆の中にいた私は身動きがとれず、流れに身を任せるしかなかった。ただおかげさまでというか、結果的にインドアステージに入ることができたのだけど。


 今年で4回目となるサマーソニックだが、相変わらずの仕切りの悪さには、ただただあきれるばかり。会場のキャパシティが決まっていて、それを越える動員があった場合に入場規制がかかるのは致し方ない。ただ、そのことをもっと迅速に周知する手段や仕組みを、なぜ設けない?なぜ考えない?メッセ2番ホールが詰まっていること、インドアステージが詰まっていることを、なぜ知らせようとしない?その場に行ってみなければわからないという、お粗末な状況。客の不満や怒りが爆発するのも当然だ。





 さて、こんな騒ぎを引き起こした張本人?は、スウェーデンの新鋭マンドゥ・ディアオだ。後で知ったことだが、大阪初日の彼らのライヴのときも似たような騒ぎが起こった様子で、仕切りの悪さが浮かび上がる一方、彼らに対する注目度の高さもうかがえる。そして登場した彼らだが、全員が黒づくめ。シックないでたちで、これは「主役は音楽」という彼らの主張のひとつなのだそうだ。そして、いよいよ始まった!


 「僕たちは、絶対に世界中で受ける自信がある」「僕たちのアルバムは、ザ・フーやキンクス、スモール・フェイセズのどのアルバムよりもよく出来ていると思っているし、ストーンズやビートルズの多くのアルバムよりもいいね。」彼らのコメントだが、なんとも強気で大胆な発言をする。正直言って、この発言を伝え聞いたときはびっくりしたし、そして思ったのは、こいつら口先ばっかりのとんだ食わせ物なんじゃないか、という疑いだった。ラジオやネットで2~3曲聴いたのだが、悪くはないけど、ここまで強気にでちゃっていいのかなあというのが感想だった。こんな発言をする新人は別に珍しくはないが、それを実践できているのは、ほんのひと握りしかいない。


 しかし目の前で彼らのライヴを観て、そして熱狂しているオーデイエンスを観ていると、彼らのことばが虚勢や空威張りではなく、その実力に裏打ちされた自信であることを思い知らされた。全編を突き抜ける、ザ・ジャムを思わせるリズムやビート。曲によってメインヴォーカルは入れ替わり、それがアクセントになる。音自体は決して斬新ではないのだが、しかしロックンロール・リヴァイバルということばだけで片付けてしまうには、あまりにもインパクトがありすぎる。開演前の外での騒ぎも凄かったが、開演後の中での騒ぎはもっと凄かった。お粗末な仕切りを前に、諦めなくてよかったなと、改めて思った。





 続くインターポールのときは、場内は人が減って通常モードに戻り、正直ほっとした。そしてニューヨークから来たこの4人組だが、黒のスーツにネクタイ姿。特徴はジョイ・ディヴィジョン辺りに通じる、ノイジーでありながら淡々としたサウンド。そしてもうひとつの特徴はヴォーカルで、デヴィッド・ボウイあるいはピーター・マーフィーを思い起こさせるモノトーンな感じ。とにかく私にはこの声が強く印象に残り、また逆にもっとこの声を生かすような方向に行ったらいいなあ、なんてことも感じていた。





 そして、これまた注目のマーズ・ヴォルタ。アット・ザ・ドライヴ・インの両輪だった、セドリックとオマーの「アフロヘア」コンビ(笑)による新バンドである。アット・ザ・ドライヴ・インは第1回のサマーソニックに出ていたのだが、私はそのとき別ステージにいた。フジロックにもエントリーされたことがあったのだが、開催前にバンドが活動停止になってしまい、結局1度も観ることがないままバンドは解散してしまった。こんな具合でニアミスしまくりだったので、今回楽しみにしていたバンドのひとつである。


 1曲が10分以上はザラという大作が揃い、プログレを彷彿とさせる曲の展開も見受けられる。そしてヴォーカルのセドリックは、コードを持ってマイクを振り回したり、機材の上によじ登ったりで、エネルギーを持て余さんばかり。しかし・・・、個人的に嫌いな音ではないはずなのに、なんだか物足りない。全体的に音が弱く、あれっこんな程度だったのかなあという実感なのだ。


 というか、こう感じてしまうのにはもうひとつ理由があって、それはマンドゥ・ディアオを観た後だからだと思う。インターポールにせよ、マーズ・ヴォルタにせよ、私にとっては、バンドそのものを楽しむというより、マンドゥ・ディアオの凄さを引き立たせる結果になってしまったのは、自分でもびっくりだった。





 この後千葉マリンへ移動し、ストロークスをいちおうフルで観る。何かと話題のバンドだが、私にはそのよさがさっぱりわからない。そして実際に本物を観たが・・・、何がいいのか、何が凄いのかやっぱりわからなかった。わかったのは、ストロークスを観たいファンが、この国にもたくさんいるということだけだった。











(2003.8.30.)
















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