Summer Sonic 2000 Vol.4 Glow / Snug







朝は8時過ぎに目覚めた。のそのそとシャワーを浴び、準備ができたのは9時半を過ぎた辺り。フジロックに比べて立地条件的には恵まれたはずなのに、この疲労感は何だ。そして、2日目のリストバンドを受け取るためにしぶしぶ交換所に行く。ステージ1では既にスケボーキングが始まっているようで、音が漏れ聞こえてくる。


 アット・ザ・ドライヴ・インもリヴィング・エンドも、できることなら観たかった。だけど、ステージ1とステージ2との間は気軽に行き来できる状態ではないことを前日嫌というほど思い知っている。そしてこの日、スナッグのライヴをどうしても観たかった私は、午前中をまるまるステージ2で過ごすことにした。


 そのステージ2。中は相変わらず蒸し暑いが、開演1時間前だとさすがに人が密集しているということはない。そして突然、パンフレットにも記載されていないバンドの演奏が始まる。威勢のいい日本人バンドで、この後は東京に帰って四谷のライヴハウスでライヴするそうだ。忙しいというか、元気というか。








 この日トップバッターのグロウ。ドイツ出身の4人組だが、ステージにいるのは3人。ドイツというとテクノ系かゴリゴリしたサウンド、というイメージを持ってしまうことが多いが、グロウはいたってポップ。メジャーデビューは昨年とのことで、もちろん今回が初来日だ。


 日本での第1弾シングルは『Dancing Queen』。もちろんABBAのカバーで、ゴージャスでダンサブルな原曲とは違い、ミクスチャーぽい仕上がりになっている。が、これがテンポよくって気持ちがいい。


 積極的にオーディエンスを取ろうとするメンバーの姿勢も好感が持て、初々しくて見ていて微笑ましい。vo&gのダニーが、横浜ハードロックカフェで何とか…、というようなことを言っていた。後日そこでライヴを演るということなのだろうか(→その詳細はコチラ)。


 ラストは最もキャッチーな曲『Mr.Brown』で締めたグロウ。3人のメンバーが前面に出てきて挨拶をし、bのがステッカーをばらまく。dsはなんと女性で、しかも元モデルのレイチェル。DMBQの吉村由佳といい、最近は見た目も腕前も優れた女性ドラマーが出てくるようになった。








 SS2000、私の表メインはこの後ステージ1に登場するウィーザーだが、裏メインといってもいいのがスナッグ。サウンドももちろんいいが、ロキシー・ミュージックのフィル・マンザネラがマネージャーを務めているというバンド人脈も気に入っている。


 ウィーザーのよじれたひたむきさと、ゲット・アップ・キッズの切ない美しさを兼ね備えたようなサウンド。そしてバンドとしてのあり方。まるで1曲1曲がクライマックスであるかのように燃えさかるさま、燃え尽きんばかりのさまは、世紀末のパンクだ。


 vo、b、gのフロント3人の動きがいい。3人揃ってのジャンプもビシッと決める。それに煽られるように、既にすし詰めの場内はモッシュの嵐となる。前日のコールドプレイに匹敵する状況になったのか、ここでついに2階席が開放される。次から次へと人がぞろぞろと入り、座席を埋め尽くす。スナッグのライヴを少しでも多くの人に観て欲しい、感じて欲しいとは思うが、演奏中の2階開放というのもバンドに失礼なんじゃないか。これも主催者の不手際だ。


 …50分という演奏時間は一見短くもあり、しかしその内容は圧倒的とも言える密度の濃さだった。蒸し蒸しした空気の薄い場内で飛び跳ねて汗をかき、しかしそうした不快さを補って余りある感動をスナッグは与えてくれた。何年か前のウィーザーはこんなライヴを演っていたんじゃないかとも思った。黄金の原石が、ここにはあったのだ。











(2000.8.23.)
















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