Fuji Rock Experience Vol.12 Happy Mondays







再び、そしてこれが最後となるホワイトステージへの出陣。人ひとでぎっちり、みっちりの状態になっている。それでもなんとか間をすり抜けてステージ向かって左側の前3列目ぐらいまで行くことができた。3日間に渡ってナワン・ケチョの通訳を務めていたヒゲのオジサン(花房さん)から、今年のフェスがここまで大成功で進行してきたこと、そして大トリとなるハピマンをもってホワイトステージが締めくくられることを言い渡され、改めてじぃんとしてしまう。この後かなり待たされるが、いよいよその時は、来た。ショーン・ライダーが!ハッピー・マンデーズが!


1曲目から場内が大熱狂状態になる。ショーンはズボンのポケットに片手を突っ込んだまま歌い、サポート?の女性voがうまくフォローしている。もちろん、バックのリズム隊も元気だ。ショーンは、ハピマン再結成は金のためだとインタビューで答えているが、この現役度はいったい何だ。このインパクトはいったい何なのだ。ここにはハピマンの"今"がある。過去のしがらみも、行き着くべき宛もない、炎がその一瞬一瞬を熱く燃えたゆらせるように、ハピマンは今を疾走しているのだ。





実は、私はハピマンをほとんど知らない。同時代にマンチェスターから飛び出して来たストーン・ローゼズはそのほとんどの音を耳にしているし、武道館のライヴにも足を運んだ。しかし、ハピマンについてはそのバンド名ぐらいしか知らず、音に触れる前にバンドが解散してしまい、私としては聴くタイミングを逸していたような感じになっていた。ハピマンをよく知る人にとっては、バンドが再結成を果たし、フジへの出演を決めたことはこの上なく衝撃的で、かつ感動的なことであったに違いない。だが私は、ハピマン再結成したのか、フジで見れるのか、ぐらいの感想を持っただけだった。


そんな私なのに、1曲目から踊りっぱなしだ。そして、この上なく楽しい。この上なく気持ちがいい。3日間に渡ったフジロック99のフィナーレが、こんなにも素晴らしい形で迎えられるなんて。こんなにも、自分が解放されたような心地よさの中で迎えられるなんて。


その理由は、1人の男のためだ。ヴォーカリストでもなく、楽器を持たないプレーヤー。厳密にはマラカスを手にしてしゃかしゃかとやってはいるが、この男のプレーヤーとしての資質は最早そんなところには圧しとどめることはできない。ステージ上を右に左に、両手を掲げてふりかざし、オーディエンスを煽る。煽るというより、一緒になろう、一体化しよう、今このひとときを目いっぱいに楽しもう・・・。この男の表情は、そしてこの男の全身はそう呼びかけている。今更改めてその名を挙げるまでもないが、その男とはベズのことである。実は、私がフジロック99に備えて最後に購入したのがハピマンのベストだった。買うべきか、それともやりすごすべきか。CDショップで現物を手にし、迷いに迷った末での購入だった。結果オーライではあるが、その判断は間違ってはいなかったのだ。



























あっという間に1時間以上の夢のような時が過ぎ去り、ハピマンのライヴは終了した。そして、フジロック99のホワイトステージも終わりを告げた。それを認識したとき私は大きく息をつき、そして肩の力が抜け、腰砕けになってその場にしゃがみ込んでしまった。だけど私は、そして恐らくはこの場にいた人みんなが、満たされた気持ちでいっぱいになっていた。



























 夜空にたたずむ星の輝きに、このままずっと照らされていたいと思った。





























 Thanks to Happy Mondays!!





























 ありがとう。





























(99.9.18.)
















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